受験校はどう選ぶ?志望校・併願校の選定基準をまとめて確認
大学受験では、何校かの大学を受験するケースが多い傾向です。第一志望校以外で受験する大学は、「すべり止め」という言い方もよくします。また、自分が一番入学を希望する大学は志望校、その他は併願校です。ただし、志望校以外の併願校は、難易度も学部・学科も自分の思うように選べます。
無理と分かっていても、難関校にチャレンジする記念受験であったり、万一受験がうまくいかなくても「ここは受かるだろう」という安全校を選んだりするなど、組み合わせはさまざまです。単純に受験校が増えたからといって、受験そのものがうまくいくわけではありません。受験校選びも、戦略的に考えることが大切です。
この記事では、受験校の選び方を志望校と併願校の違いから詳しくご紹介します。
受験校とは
受験生一人が受験する大学や短大の数はどのくらいなのでしょうか。ここでは、受験する大学や短大の数、特徴について解説します。
・2~3校が平均
一般的に、受験生一人あたりの受験校数は2~3校といわれています。一般入試で受験を考える場合、まず志望校を決定したら、あとは偏差値、大学や学部、地域などから似たような併願校と、合格可能性が高い併願校(すべり止め)をそれぞれに一つずつ選ぶ流れです。
一方で、推薦入試やAO入試で合格した受験生の受験校は1校というケースが増えます。志望校を一つに絞って、推薦入試と一般入試を併願するパターンも多いため、受験校は1校でも実質的に志望校と併願校を2つセットで受験しているといっていいでしょう。
ただし、次で紹介する3種類の受験校から併願校を考えると、5~6校程度の組み合わせが最も理想的といえます。その理由もあわせて見ていきましょう。
・受験校は3種類
大学受験では、受験校を「チャレンジ校」「実力相応校」「安全校」の3つのタイプに分けて考えます。大学および学部の偏差値をベースに考えるのが一般的です
◇チャレンジ校
受験しても合格できるかどうか、やってみないと分からないレベルの大学です。今の実力では、合格可能性がよく見積もっても20~40%以下、模試の判定で「D判定」「E判定」で返ってくるような大学です。
「D判定」「E判定」の大学を受験したとイメージすると、「合格はまず難しい」と尻込みしてしまう人が多いのではないでしょうか。そのくらい、チャレンジ校で選ぶ大学は、自分にとって難易度が高く、不合格になるリスクが高いといえます。
チャレンジ校は、入試問題も難易度が高いため、対策も時間がかかります。本命の志望校対策にスポットを当てるためにも、1~2校程度が無難です。
◇実力相応校
大学受験では、50~60%程度の合格可能性の大学をチャレンジするのがスタンダードです。つまり、模試で「C判定」程度の大学。偏差値で考えて、低いと40%程度、高くても60%程度の合格確率を目標に据えて、勉強を進めていきます。
これは、公立1校しか受験できない高校受験と異なるポイントです。受験する高校を選ぶ場合、合格確率ができるだけ高いところを狙って、不合格のリスクをできるだけ押さえるのが先生や保護者でよくあるケースといえますが、大学受験は日程や準備が整うかぎり、複数の大学や短大を併願できるため、実際に狙っていく受験校は実力相応校が中心となってくるのです。
実力相応校は、受験生としてがんばってきた努力や実力を十二分に発揮できる場のため、2~3校、人によっては5~6校受験する場合が少なくありません。
◇安全校
受験すれば、「まず合格するだろう」と安心して試験に臨める偏差値の大学です。模試で「A判定」の大学が安全校に当たります。合格確率80%以上の大学や短大です。併願校に安全校も上手に組み込めば、五分五分の勝負になる実力相応校や、合格可能性は低いものの、ぜひ受験したいチャレンジ校も安心してチャンレジできます。
合格確率が高い安全校は、1~2校程度でいいでしょう。数が多ければ受験に臨む安心感は高まりますが、受験対策や実際に受験する日程にも負担となってしまう可能性があります。また、受験料も1校あたり約3万円前後のため、複数になると金銭的な負担も大きくなるでしょう。
あくまで、実力相応校で合格を果たす目標は外さず、安心を買うイメージで選ぶのがポイントです。
受験校の選び方
まず、自分が「大学で何を学びたいか」「どういったキャンパスライフを送りたいか」といったモチベーションや夢を下敷きに考えます。しかし、それだけで選んでしまうと合格可能性が低くなるおそれがあるでしょう。そこで、「偏差値」を中心にしながら、いくつかのポイントに絞って選んでいくことがおすすめです。
◇選ぶ基準は「偏差値」「スケジュール」「学びたいこと」
受験校は、さまざまな角度から検討して選択肢をまとめるのが大切です。なかでも、「偏差値」「スケジュール」「学びたいこと」の3つは、受験校選びで非常に重要なポイントといえるでしょう。
・偏差値
偏差値は、有名予備校が統計をまとめて発表しているものがよく使われます。また、模試の判定結果でもA〜E判定と自分の成績を比較しておきましょう。なぜなら、どのくらいの実力差があるかを毎回把握しておけば、志望校や併願校の優先順位を決めやすいからです。
特に、チャレンジ校、実力相応校、安全校をバランスよく振り分けるのに、偏差値を含めた難易度のランク付けが重要になります。また、大学だけではなく学部や学科ごとの偏差値も確認しましょう。
例えば、大学で比較すると難易度に差があっても、ある学部や学科では偏差値に差があまりないケースも少なくありません。あわせて、「私立大でもセンター試験を利用するか」「どこまで配点割合が変わってくるか」でも、偏差値では見えない難易度が決まってきます。
・スケジュール
偏差値や難易度である程度、志望校と併願校を絞り込めたら、おおまかに受験のスケジュールを組み立てていきましょう。受験時期のカレンダーを用意して、受験したい大学や短大から日付に記入していきます。優先順位は、以下のようなイメージで振り分けるといいでしょう。
①実力相応校(志望校)
②実力相応校(志望校以外)
③安全校
④チャレンジ校
もちろん、人によってチャレンジ校またはチャレンジ校を優先するなど、それぞれの受験への姿勢で変えてかまいません。重要なポイントは、「第1志望校をまず決めること」です。他の実力相応校やチャレンジ校、安全校と日程が重なっていた場合は、志望校にしなければなりません。
また、余裕を持って志望校を受験するためには、「前後の受験日程は空けておく」「都市をまたぐような移動はできるだけなくす」といった調整も大切になります。
・学びたいこと
偏差値や受験スケジュールとともに、自分が何を大学や短大で学びたいのかをハッキリさせておきましょう。学びたい動機は、受験校選びにも大きく影響します。例えば、合格発表が次々と繰り返される中で、「志望校の合格が分かるまで受験するかどうか」「合格しても入学手続きをしておくべきか」など、合格校の優先順位を判断するのに役立つでしょう。
また、例えば同じ「文学部」や「理学部」であっても、大学や教授、研究内容によって、大学で学べる対象やレベルは千差万別です。こうした部分は、偏差値や大学のブランドイメージだけでは分かりません。
必ず公式ホームページや入学案内、学部や学科の紹介資料などを読んで、不明な点は先生やOBの先輩に質問してみましょう。自分のイメージばかりを膨らませるのではなく、「実際に入学してからどのような内容を学べるのか」について客観的な視点で確認するのをおすすめします。
◇ひし形(ダイヤモンド)って何?
受験校選びでよくいわれる「ひし形」とは、受験校の3種類の理想的な組み合わせのことです。
・チャレンジ校:1~2校
・実力相応校:3~4校
・安全校:1~2校
上記のような受験校数で組み合わせると、ちょうど実力相応校の層が厚くなるため、上下のチャレンジ校と安全校が三角形となって、ひし形(ダイヤモンド)のような図になるのが由来です。
◇第一志望校と併願校の決め方
「チャレンジ校>実力相応校>安全校」といった逆ピラミッド型は、受験がうまく運ばなかったときに懸念材料となりかねません。一方で、「チャレンジ校<実力相応校<安全校」といったピラミッド型では、受験料や受験日程でデメリットが大きくなってしまうでしょう。そのため、受験校の比率を上記で述べた1:2:1のようなひし形を意識すると、バランスの取れた受験校選びになります。
◇国公立と私立との日程調整
志望校が国公立か私立かによっても、受験スケジュールの組み方が大きく変わるはずです。一般的にセンター試験が終わり、2月から私立の日程がまとまって実施されて、国公立は3月に試験が集中します。そのため、国公立が志望校なら、実力相応校や安全校に私立を含めて、すべり止めの受験校を確保しておく必要もあるでしょう。
偏差値と学びたいことのバランスを大切に
受験校選びで、「受験の難しさ」「自分が大学で勉強したいこと」の両立をどう図ればいいのでしょうか。大学受験では、どうしても偏差値や難易度ばかり気になって、合格しやすい大学、実力にマッチした大学を選ぼうとしがちです。
「不合格になって浪人したい」という人はいないでしょうから、そうした心配から偏差値にとらわれてしまうのも、ある意味やむを得ないといえるでしょう。しかし、少なくとも次の3つのポイントから受験校のおおまかな特徴を押さえておくことは重要です。
◇大学のカラー
偏差値や難易度が同レベルであっても、大学によって学風や得意分野はまったく異なります。なぜなら、実力相応校や安全校の中で受験の優先順位は低くても、ある分野では世界的な研究成果を挙げていて学会や業界で知られている大学もあるからです。また、国公立と私立を比較した場合、大学の沿革や歴史が異なるため、それぞれの大学で雰囲気も異なります。
「4年間、自分がどんな雰囲気のキャンパスで過ごしたいか」「どういった学問を極めたいか」によって、大学を選定していきましょう。
◇学部や学科による違い
文系や理系という大きな枠の中だけで、大学選びをしてしまう受験生も少なくありません。しかし、同じ文系でも法学部と文学部、心理学部、社会学部、経済学部では当然まったく学問の分野も扱う対象も異なります。そのため、偏差値が自分に合っていても興味がない学部や学科を選んでしまうと、入学してからミスマッチになり後悔してしまうことも。
まずは、学部や学科で取り扱う学問分野を比較して、自分の興味や関心に近いものを選びましょう。そのとき、偏差値や難易度を含めてバランスをとって受験スケジュールを調整していくことをおすすめします。
◇教授や研究方針もチェック
学部名や学科名が同じでも、大学ごとに在籍している教授や得意な研究分野があります。もし、受験の段階で「○○学部の○○分野を学んでみたい」というところまでイメージできていたら、ゼミを持っている教授の研究分野をチェックしておくといいでしょう。
教授や研究方針によっては、その大学では専門家がいなくて思うような勉強ができないこともあります。大学や学部、学科の公式ホームページ、オープンキャンパスでおおよその特徴がつかめるので、特に志望校や実力相応校の受験校の場合はチェックしておいてください。
日程調整のポイント
ここでは、具体的な受験スケジュールの組み方のポイントを3つ紹介します。
◇第一志望校を優先する
志望校の受験日を調べて、最優先します。併願校の受験日と重なったときは、他の試験日程で受けられないか調べたり、別の受験校を選び直したりといった調整も必要です。
◇試験日の間隔
特に、志望校の受験日の前後は余裕を持ったスケジュールにしておきます。
連日受験が続くといったような、体力面でも精神面でも疲労が心配されるような日程は避けてください。また、志望校の受験日の前後での長距離移動も控えましょう。もし地元を離れての受験ならなおさらです。志望校が受験スケジュールの初日なら、せめて前日にはホテルに入って街やホテルの部屋の雰囲気に慣れておくのも、落ち着いて受験できるコツといえます。
◇合格発表と入学手続締切日を意識
複数の受験校を受け続けると、合格発表と入学手続きの期限が次々とやってきます。「もしA校に合格した場合、いつまで入学手続きを引っ張れるのか」「その間にB校に合格したら、どちらを優先するのか」など、受験スケジュールに入るまでにシミュレーションしておいてください。
この判断を誤ると、「志望校に近い合格校をあきらめざるをえない」といった事態になりかねません。受験スケジュールを組み立てて、受験申し込みをした段階で、できるだけ早く選択基準を定めて、その時々に素早く判断できるようにしておきましょう。
まとめ
受験校選びで大切なのは、志望校とその他の併願校の優先度をしっかり付けておくことです。「偏差値」「スケジュール」「学びたいこと」といった3つの基準を軸にしながら、ひし形バランス「チャレンジ校<実力相応校>安全校」で受験校を選んでいきましょう。
うまく併願校を選ぶためには、志望校との違いを意識して情報収集することが大切です。特に、大学や学部、学科によって偏差値や学べる内容には大きな違いがあります。志望校を優先した受験スケジュールを組み立てながら、合格発表や入学手続きの期限も意識して上手に受験校を選んでみてください。
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