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本当は面白い科目だった!化学と私たちの生活の意外な関係

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「化学は覚えることも多いし計算もあるし、正直つまらない……」
なんて思っていませんか?
堅苦しいイメージとは正反対に、実は化学って面白い科目なんですよ!
それは、化学が理系科目の中でも生活にガッツリ結びつき、「すぐに役に立つ」学問であるという側面があるからです。
この記事では、知っているようで知らない、化学と生活の関係を取り上げてみました!

「混ぜるなキケン」はなぜキケン?

キッチンやトイレの洗剤の中には「混ぜるなキケン」とかかれた洗剤が数多くあります。
この「混ぜるなキケン」の理由は、実は高校化学で理解することができるんです。

範囲は無機化学です。まだ習っていない方はふんわり「こういうものを習うんだ~」と思って読んでみてくださいね。

無機化学の中に「弱酸の遊離」「酸化還元反応」という単元があります。

まず前提知識です。これらはすべて高校化学で学ぶことが出来ます。
・酸性と塩基性のものを混ぜると中和して塩(えん)ができる。
・弱酸で出来た弱酸塩に強酸を加えると、強酸塩ができて、弱酸がはずれてしまう(これを遊離といいます)。
・酸化(電子を失う)還元(電子を得る)反応は同時に起こる

さて本題の「混ぜるなキケン」ですが、実は「混ぜるなキケン」がかかれている洗剤にはある共通点があります。
それは「塩素系洗剤」であることです。
「プールのにおい」というとより身近かもしれませんね。

塩素系洗剤には次亜塩素酸ナトリウムという物質が含まれますが、これは「弱酸塩」です。ここに強酸を加えると何が起こるのか……?
ずばり、塩素が発生してしまいます。

次亜塩素酸ナトリウム+強酸→塩素ガス
塩素がどれだけ危険な物質なのか、それはぜひ化学の教科書やインターネットで調べてみてください。

カラフルな花火はどうやって作られる?

高校化学の序盤の難関は、案外「炎色反応」なのではないでしょうか?

炎色反応とは、物質が燃えるときの色のことですが、高校化学での「炎色反応」は数々の元素の燃えたときの色をひたすら暗記していくしかないので、人によってはそこそこ苦痛なものです。

しかしこの炎色反応、実は高校化学で習う前からみなさんになじみ深いものに利用されていて、必ず見たことがあるものなんですよ。
それは「花火」。

一般的な打ち上げ花火では、
・花火玉を割るための火薬
・「星」と呼ばれる、花火の光の粒となる火薬
が含まれています。

この「星」の正体はさまざまな金属の粉です。
上空にうちあがった花火玉から飛び出した「星」は、空で燃えながら炎色反応を起こし、色とりどりの色で輝きます。

ちなみに、色が変わる花火は「しん」にむかって違う炎色反応を起こす金属の粉をまぶして作られているんですよ。

ここからは高校化学の範囲外ですが、「なぜ炎色反応で色が変わるのか」という話になると少し物理寄りの話になります。

金属に限らず、私たちの周りにあるすべての物質は「原子」というとても小さな粒の集まりで作られています。
原子はさらにその中心となる「原子核」と、原子核の周りを衛星のように回る「電子」でつくられます
(ここまでは、高校化学で習う人も多いですね)。
電子が回るコースは決まっていて、違うルートをとることは基本的にありません。

ところが原子が加熱されると、熱のエネルギーを吸収して電子が外側のルートに飛んでしまいます。このとき電子は吸収したエネルギー分高くなります。

そしてもう一度元のルートに戻るときに、電子が吸収したエネルギーを放出します。このエネルギーが「光」として現れるのです。
ところで、吸収したエネルギーによってどこまで電子がジャンプしてしまうのか・どれだけの光のエネルギーが放出されるのかは、元素によって異なります。

このエネルギーの差が「炎色反応」だったのです。

油性ペンもとれちゃう!意外と優秀な除光液

ここからはちょっとした小ネタです。高校化学の終盤では、「有機化学」という単元を学びます。
有機化学は暗記要素も計算要素もパズル要素もあるので、まさに学んだことを総動員しなければなりません。

有機化学で学ぶことのひとつとして、「無機物は無機物に溶けやすく、有機物は有機物に溶けやすい」があります。
これはまさに「油と水はいくら混ぜても溶けない」ことの正体です。

この事実は掃除にとても役立ちます。たとえば机に書いてしまった油性ペンは、ちょっとやそっとじゃなかなか拭き取ることができません。しかし、マニキュアなどを落とすときの「除光液」を使うと簡単に落とすことができます。

除光液は有機物を落とすためにものすごく使える有機物で、筆者の化学科出身の知人も除光液を掃除に重宝していました。

このように、掃除には化学の知識がよく役立ちます。
アルカリ性の汚れには、酸性の「クエン酸」。酸性の汚れには、アルカリ性の「重曹」。有機物には有機物の「除光液」。
さらに重曹は液性だけでなく、研磨性にもすぐれているので、焦げなどを「削り落とす」のにも最適です。

実は身近で役に立つ「化学」の知識

洗剤や、花火や、掃除だけでなく、料理などの生活にも化学の面白さは詰まっています。

学校での化学の勉強が楽しくなるだけでなく直接役に立つこともあるので、化学図録や一般書をいろいろ読んでみてください。ちょっとした発見があるかもしれません。

 

執筆者:てんもんたまご
天文学者を夢見て浪人の末に物理学科へ入学。
卒業後は、理系としての知識や実験教室でのアルバイト経験を活かしてライターとして活躍中。
大好物は、紅茶とあんみつ


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