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小論文が必要な大学入試とは?実施されたテーマも紹介

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大学では自分で課題を見つけ、その課題について深く研究を進めます。そこで、受験者が必要な読解力や論述力、思考力を持っているかを測るために、大学入試で行なわれているのが小論文試験です。

そこでこの記事では、大学入試で採用されている小論文試験の特徴や学部別の傾向、過去に実施されたテーマを紹介します。興味のある学部の傾向やテーマを知り小論文を攻略すれば、より合格に近づけることでしょう。

小論文が必要な大学入試

小論文を試験に採用している大学入試の種類は次の3つです。それぞれ、どのような小論文試験が行なわれているのか見ていきましょう。

◇総合型選抜

総合型選抜は知識以外に思考力や読解力、学習意欲など多くのものが求められる方式です。そのため、志望大学が求める人物像に沿っていることやこれまでの経験で活かせることを、しっかり小論文で伝える必要があります。

また、総合型選抜は小論文以外に、その学科を受ける目的と将来の希望をつづった志望理由書など出願書類の用意が必要です。書類の準備と並行して、対策を進めましょう。

◇学校推薦型選抜

学校推薦型選抜は、高校での実績や取り組みをもとに生徒を評価する方式です。学校推薦型選抜の種類には「指定校制」と「公募制」の2つがありますが、いずれも書類審査、面接、小論文などを中心に評価を行ないます。

この方式で行なう小論文は多くの場合、以下の内容を指定されたフォーマットに沿って記述します。

・自己PR
・志望理由
・高校で取り組んだこと
・大学で取り組みたいこと
・大学卒業後の目標

◇一般入試

数は少ないものの、一般入試でも総合型選抜のように小論文試験を採用している大学があります。科目試験だけでは把握が難しい、思考力などを測るのが目的です。

総合型選抜と同様の対策が必要ですが、自分の意見を述べるよりも物事を客観的に整理できるかどうかを問われる傾向にあります。科目試験の対策も必要なので、早いうちから対策を行なう必要があるでしょう。

学部別の傾向と実施されたテーマ

大学入試で行なわれる小論文は、学部によって出題傾向やテーマが異なるのが一般的です。志望学部の過去問をしっかりと調べて対策しましょう。

◇人文系

文化や言語、人間などに関するテーマが多く、そのテーマについて具体例を挙げて意見を述べる形式がほとんどです。テーマに関する資料が与えられるため、その資料から内容を読み取り、新たな具体策を提示します。

幅広い知識を身に付け、日頃からさまざまな出来事に自分なりの意見を持つ訓練が必要です。

<人文系で過去に出題されたテーマ>
・現代の言葉の使い方が時代とともに変化したという文より、言葉の自浄作用について考えなどを書く
・日本の新幹線を例に文化と文明の違いを論じた文を読み、異文化理解のために必要な認識などを書く

◇教育系

学部系統のなかでも、特に学部・学科の特色に沿ったテーマが出題される傾向にあります。例えば、子ども教育系学科なら「保育所における教育」、教員養成系学科なら担当の教科に関わるものなどです。

いずれも「どのような教育を理想とするか」を問われることが多いので、日頃から教育とはどうあるべきか、自分なりの考えを深めておきましょう。

<教育系で過去に出題されたテーマ>
・教わる学習や知識が必要だと主張する文より、遊びでの知識が学力になることへの批判に対する考えを述べる
・学校生活における自然体験活動の意義と課題について、具体例を挙げたうえで考えを述べる

◇語学・国際系

言語や国際関係、異文化に関するテーマが多く出題されます。英語の資料をもとにした出題も多いため、志望学部・学科で英語資料が出される場合は読解の訓練が必要です。

また、国際学部や人間文化学部など社会的な要素がある学部・学科では、国際問題について問われることがあるので、世界のニュースにも目を通しておきましょう。

<語学・国際系で過去に出題されたテーマ>
・母語と母国語との関係について論じた文より、日本語を母語としない人との共生を実現する方法などを書く
・難民が活躍できる社会を目指すNPO創設者を取材した記事を読み、少数派の声を聞くことの意義などを書く

◇農水産系

表や図、グラフなどが入った資料を与えられる問題が多く、地球温暖化、生物多様性、農業や水産業の発達など、環境や食に関するテーマが多い傾向にあります。

農水産系を目指す人のなかでは、上記のテーマに関する知識の差が出にくいので、いかに理路整然と述べられるかがカギとなるでしょう。

<語学・国際系で過去に出題されたテーマ>
・科 生物多様性について説明した英文を読み、遺伝子組み換えやゲノム編集が生物多様性におよぼす影響などを書く
・サプリメントの安全性を危惧する文と図より、消費者のサプリメントの摂取方法について考えなどを書く

◇社会系

少子高齢化、エネルギー問題、科学技術の進歩など、現代社会でのさまざまな問題がテーマとして幅広く扱われています。現代社会の授業でも使われる図やグラフが資料として出されることもあります。

新聞やニュースで取り上げられている話題をチェックして知見を広めるか、学部・学科の傾向に絞って知識を深掘りするとよいでしょう。

<社会系で過去に出題されたテーマ>
・情報や知識の過多によって事実はゆがむという文より、情報を受け取り利用する際に注意すべき点などを書く
・インターネット上に個人情報を開示する場合の注意を述べた英文を要約し、ネットの利点や問題点などを書く

◇経済系

「少子高齢化」「情報化社会」など日本の将来に大きく関わるテーマが多くありますが、どういったテーマを出されても、すべて経済を起点に考えることが重要です。

現在の経済の動向や社会情勢を把握するために、新聞の経済面や経済誌などの記事をチェックしておきましょう。

<経済系で過去に出題されたテーマ>
・生産と消費の均衡を保ち将来世代の利益を守ろうという文と図より、高齢者の労働供給を高める策などを書く
・日本では財政の再建が進まないという記事より、独立財政推計機関の創設の留意すべき点などを述べる

◇法・政治系

政治や法律の視点で社会問題を取り上げ、それに対する意見を述べる問題が多い傾向があります。他の学部系統より資料のボリュームが多いので、読解力やグラフを読み取る能力も必要です。

<法・政治系で過去に出題されたテーマ>
・公的福祉の担い手が政府からNGOなどへ変わってきた日本の経緯を説明する文より、この是非などを述べる
・代表概念を挙げて国民の意思を政治に反映させる方法を探る文より、日本政治の現状の問題点などを論じる

◇生活科学系

少子高齢化や環境に関するものや、衣食住など生活に関するものがテーマとして多く扱われています。一生活者としての視点を通して、テーマを考察することが重要でしょう。

図やグラフなどの資料が出されることもあるので、公民の教科書や資料にも目を通しておくことをおすすめします。

<生活科学系で過去に出題されたテーマ>
・太陽光発電に関して、良好な居住環境の形成という点から見たメリットとデメリットについて考えを述べる
・長寿化社会に適応する力が大切だという文より、地域における栄養士の役割について考えなどを述べる

◇理工系

資料をもとにして内容を説明し、それに対して500前後の論述する、という形式の出題が多くあります。自然環境や最新技術に関する知識を深めることと、情報を短くまとめる要約力が必要です。

<理工系で過去に出題されたテーマ>
・左側から壁に向かう平面波の入射を示す図より、壁の右側での波面を描きホイヘンスの原理で説明などを行なう
・科学の進歩について、期待することとその理由を述べる

◇看護・医療系

医療だけでなく、環境問題、エネルギー問題、コミュニケーションなど、人に関連するテーマが多い傾向があります。また、「医療従事者として何を意識するか」というように、医療に関する意見を求められることも多いので、自分の考えをまとめておく必要があります。

<看護・医療系で過去に出題されたテーマ>
・病院側における連携体制の不備により患者に医療ミスをしたという文より、医療ミス防止の方法などを述べる
・真の友を得るには相手に関心を持つことが大切だという文より、著者の意見について考えなどを書く

◇医歯薬系

長い文章を読み、その内容に対して自分の考えを述べる形式が多く見られます。英文の資料・グラフを読む問題もあるので、英文読解力が必要です。医療や生命科学などテーマが多い傾向があります。

<医歯薬系で過去に出題されたテーマ>
・細胞の遺伝子情報の仕組みを説明する英文より、生物の遺伝情報の符号化方法と解読の現状などを述べる
・海外での安楽死の実例と家族や医者の感情を論じた文より、日本での安楽死の法制化について考えなどを書く

大学入試小論文は論文の練習と専門的な知識の吸収が不可欠

小論文試験の対策としては、小論文のルールを身に付けること、テーマに関する前提知識と自分なりの意見を持つことの2つが重要です。

とっつきにくいジャンルのテーマでも、普段から新聞やニュースでチェックしておけば理解しやすくなるでしょう。志望校の出題傾向や過去の出題テーマなどを確認し、大学入試の小論文試験に臨みましょう。


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