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塾と予備校、大学受験で通うならどっち? 知っておくべき違いと強み

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大学の受験対策として独学だけでは不安なとき、学習塾や予備校を検討したくなります。資料を取り寄せてみたり、最寄りの場所を調べたりしているうちに、ふと「そういえば、塾と予備校ってどう違うんだろう?」と疑問に思ったことはないでしょうか。

塾も予備校も学習を深めて、志望校へ合格するためのサポートをしてくれる場所であることに変わりはありませんが、授業内容やカリキュラムなど、そのスタイルにはそれぞれに違った特色を持っています。

通い始めてから「何か違う」とならないために、塾と予備校にはどんな違いがあるのか、それぞれの指導スタイルや強み、そして実は勉強以外にもある大きなメリットなどについて見てみましょう。

塾の特色とは

学力アップをサポートするために通う教室として、まずはじめに思いつくことが多いのが学習塾です。近所でよく看板や広告を見かけるから、小学校や中学校時代に通っていたからといった理由もあり、予備校よりも選択しやすいものです。実際に受験対策や難関校受験といったコースを用意していることも多い学習塾には、どのような特色があるのでしょうか。

■少人数制の個別指導塾が増えている

一般的な学習塾では、年々個別指導などの少人数制を採用しているところが増えてきています。全国学習塾協会が2010年に行った調査では、協会に加盟している全国の学習塾のうち、85%以上が個別指導を行っているという結果が出ていました。個別指導塾では、基本的に1人の先生が1人~複数人の生徒を担当し、科目も1つに限らず、国語と英語、数学と理科系など複数科目を指導するスタイルとなっています。

■アットホームで生徒に寄り添った指導が受けられる

塾で配布されるテキストや参考書を使い、わからないところや疑問に思うことなどを、先生と会話しながら進めていきます。集団指導制の塾もありますが、対象が中学生までのところが多い印象です。塾で勉強を担当する先生は専任教師もいる一方で非常勤や大学生も多く、親しみやすさや気軽に質問ができるアットホームな雰囲気、生徒1人1人に寄り添った指導内容などが特色となっています。

■学力が高い学生には物足りないことも

学習塾では授業内容のサポートや、理解力をつけて定着させる、進路などの相談に乗ってもらえるといったケアが期待できる反面、担当する教師によって理解度やモチベーションが左右されがちというデメリットもあります。優しい先生に甘えてしまうと、あまり成果が感じられずに友達と交流するだけの場になってしまったり、学力の高い生徒が更なる高みを目指そうとするときや、難関校で専門的な学習をしたいと考える場合には、少し物足りないと感じるかもしれません。

また、少人数制の1部の学習塾では生徒に手を挙げて発言を求めたり、グループになって問題を考え、意見をまとめて発表するといった学習スタイルも取り入れられています。こういった学習方法はアクティブラーニングと呼ばれ、受験に直接必要なものではありません。しかし、今後アクティブラーニングを実施する学習塾は増えていく可能性が高いのです。その理由については、後で詳しく見ることにしましょう。

予備校の特色とは

学習塾では生徒1人 1 人に寄り添い、親しみやすいきめ細かなサポートなどを特色としていることがわかりました。それに対して、予備校にはどのような特徴があるのでしょうか。学習塾との明確な違いはあるのでしょうか。

■大人数制で講義を「聞く」スタイル

予備校の指導スタイルは、数10人を1つの教室に集めて行う大人数制です。小さな教室で勉強を「見てもらう」のではなく、各科目のエキスパートである講師が教壇に立って行う講義を聞く形式となっています。 通常予備校の講師は複数の科目を担当することはなく、1つの科目に特化したわかりやすく迫力のある講義で、聴くものを引き込んでいきます。

■講師陣はプロの精鋭が揃う

予備校の講師陣はものを教えるプロとして、フリーランスで予備校と契約しているエキスパートです。講義の内容や生徒の評判がそのまま自分の評価に繋がるため、常に自分自身も切磋琢磨し、心にささる言葉選びや1歩進んだ効率的な考え方などを提供できるような努力をしています。

■浪人生や社会人向けのコースも充実

上記のような講師による迫力のある講義でモチベーションを上げ、理解力を深めて受験に合格する力を身につける「受験力」を高めることに特化しているのが予備校の大きな特徴です。塾に比べるとドライで自由な雰囲気があり、浪人生や社会人など、高校生以外の大人も多く通っています。

■相応の学力と自己管理能力が問われる

予備校は少人数制の塾と違い、自分の受けたい講義を自ら「聞きに行く」スタイルであるため、それをいかに自分のものにするか、という自己管理能力が問われるでしょう。極端な話、いくら講師の話がためになるものであっても、聞き流してしまえば効果はなく、理解しようとする姿勢やある程度の学力も必要になるため、人によってはついていけなくなったり、講師との相性が合わないと講義を受けるのが苦痛になり、苦しくなってしまうこともあります。

塾と予備校、どっちがいいの?

塾と予備校、それぞれの特色がわかったところで、どちらが自分に向いているのかを考えてみましょう。

■塾に向いているのはこんな人

・苦手克服、成績アップがメイン

学力に少し自信がなく、平均点よりも低い科目があったり、全体的な成績を底上げしたい人には、少人数制やマンツーマンで教えてもらえる個別指導型の学習塾がフィットしています。わからないことがその場で質問でき、自分のペースで進められるため授業についていけない心配もありません。

・何でも話せる親しみやすい雰囲気で勉強したい

スパルタ式の授業や迫力のある雰囲気が苦手で、委縮してしまう人も塾向きといえます。アットホームで親しみやすい先生になら、進路の悩みや自習のコツなど、ちょっとしたアドバイスなども聞きやすいですね。

・部活や他の習い事があり、通学に時間をかけられない

地域密着型の小さな学習塾や全国に教室を抱える大手運営の塾なら、自宅の近くに教室を見つけやすいので忙しい人におすすめです。予備校のように講義の時間が決まっていないので、予定に合わせて時間を取ってもらうこともできます。

・地方在住で学習にかける費用が決まっている

一般的に予備校は塾よりも費用が高額であることが多く、学校も都市圏に集中しているため、地方在住の場合は気軽に通うことが難しくなります。学費や交通費、場合によっては寮へ入るための生活費などがかかることもあるので、家族と相談する必要があるでしょう。

■予備校に向いているのはこんな人

・国立や超難関の学科を受験したい

学力に合わせたコースを用意している予備校もありますが、塾に比べて費用も時間もかかることを考えると、もともとある程度学力に自信があり、国公立の大学や医学部など、狭き門である学校を志望する人の方が予備校に向いています。自分の力だけでは網羅できないようなテクニックや模範解答のアドバイスがもらえたり、自由に利用できる自習室が完備されているなど、予備校へ通うことのメリットは大きいでしょう。

・塾での学習経験があり、物足りなさを感じている

学校によって特色があるので一概には言えませんが、既に受験対策として学習塾に通った経験があり、塾でのカリキュラムに不満がある場合は、予備校を検討してみることをおすすめします。現状に焦りを感じていて、もっと勉強に身を投じる必要性を感じている、エキスパートの講師陣に鼓舞してもらいたい、能力以上の学校に合格したい、といった熱意を持つ人も予備校向きです。

・時間の融通が利き、費用にも余裕がある

予備校のスケジュールに合わせて時間の都合がつけられる人や、都市圏に住んでいて通学しやすい人で、費用に余裕がある人にも予備校がおすすめです。もし通ってみて合わないと感じたら?という不安があるなら、長期休暇に開催される短期集中講座などを受講してみるとよいでしょう。

大学受験だけじゃない? 塾と予備校に通うメリット

塾へ通うか予備校にするか、自分に合った方を選べばよく、もちろんどちらにも通わないという選択肢もあります。ただ、もし大学受験の後のプランについて固まっていないなら、塾や予備校へ通うことで何かの気づきを得られるかもしれません。

■大学生活を無駄にしないために

「みんなが行くから大学へ行く」「家族に言われたからなんとなく」といった理由で大学受験をする人は少なくありません。それは決して悪いことではありませんが、大学受験で燃え尽きてしまい、入学後のモチベーションが保てないと貴重な経験ができる4年間を無駄に過ごすことになりかねません。

AI(人工知能)の発達やグローバル化によって、現在ある多くの仕事や職業が消滅したり、海外の会社や人材に取って代わられる可能性はより高まってきています。

■卒業したその先について受験前から考える

名門や難関と呼ばれる大学を卒業しても、就職に失敗する学生がゼロではないことを考えると、大学受験に成功した後どうするのか、卒業後、社会に出た際にどのような仕事をしたいのかを早いうちから考えておくことは、今後もっと重要になってくるでしょう。もっといえば、今志望しようと考えている大学で本当によいのか、別の選択肢はないのかといったところも慎重に考える必要があるのです。

■独学では得られない経験ができる

塾や予備校になんとなく通っている人ももちろんいますが、自宅と学校の往復だけの生活よりも、塾や予備校へ通うことで志の高い人に出会い、将来を見据えたアドバイスや進路についてのヒントをもらえる機会は増えるでしょう。

たとえば、先に挙げたアクティブラーニングを導入する大学が近年増え始めています。「良い大学を卒業すれば大手企業に就職でき、一生安泰で過ごせる」といった価値観は古くなりつつあり、自分で考えて意見を出し、人を巻き込み協力して情報を発信していく力が重要になってきているのです。

塾や予備校においても「大学に合格できさえすればよい」「受け身の授業で講義をしっかりと聞いていればよい」といった従来のスタイルから、大学生活を有意義にしてその先へと繋げる橋渡し的なカリキュラムが今後重要視される可能性は高いでしょう。

■人生を変えるようなアドバイスやヒントに出会えることも

受験生が大変なのは、合格に向けて勉強することに加えて「選んだ道は本当に間違っていないだろうか」「自分に合う選択肢が他にあるのでは」といった迷いや不安と戦わなければならないところにあります。自分の将来に迷いがなく、まっすぐに勉強できる幸福な人もいますが、そのような人でも入学後に迷わない保障はありません。

もちろん塾や予備校以外にも刺激を受けられる場はあるでしょう。しかし、大学で学びさまざまな経験を経て、多くの受験生を合格に導けるかどうかに生活を賭けている講師から得られる情報は貴重です。

■自分では気づかない未来に気づけるチャンス

自分の将来について、本当の悩みを家族や友人に打ち明けられない人もいます。信頼できる人だからこそ心配をかけたくなかったり、相談して困らせるかもしれないと思うと、良い環境に恵まれていても悩みを抱えてしまうこともあるでしょう。普段の生活スタイル以外に新しいハブを持つことで、今まで話せなかった不安や悩みを共有できる仲間と出会えるチャンスもあるでしょう。

現在特に悩みがなくても、そういった環境で勉強に励んでいるうちに、自分では気づかなかった新しい世界に出会うきっかけがつかめることもあります。受験は人生において大きな決断ですから、できるだけ多くの情報を得てモチベーションを高め、頑張る自分を後押ししてくれる環境作りが大切なのです。

これを読んでいるあなたがもし、自分にとっての新しい場所が必要ないほど確立された信念があるなら、まったくの独学でもきっと受験に成功するでしょう。塾や予備校へ通うにしても、有名だから、友達が通っているから、なんとなく…といった動機で通っている限り、貴重な体験をすることは難しいかもしれません。それでも、何かに気づいた瞬間から人は変化していくものです。不安や迷いと戦いながら、志望校へ合格するためにひとりで頑張っているすべての受験生にとって、新しい未来へのヒントに出会える場所が見つかるように応援しています。

執筆者:木村紫 
貿易業務とライター業を兼務するシングルマザー。人より少し豊かな人生経験から、恋愛・健康・転職・ライフハックなど、様々なジャンルで執筆活動中。ダメな人への優しいまなざしに定評がある。


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