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夜這いがデフォルト!平安時代の恋愛事情

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古文に出てくる平安時代の物語は、なんとなく難しそうな言葉を使っていますし、和歌のやりとりもあって、なかなか物語として感情移入できないことが多いですね。

その原因は、平安時代と現代の価値観や習慣の差にあります。

確かに昔の物語に感情移入は難しいかもしれませんが、恋する気持ちには今も昔もありません。
現代人と同じように誰かに恋をして、切なく苦しんだり、儚い幸せを大切に抱いていたりしたのです。

また、昔は娯楽も少なかったので、現代以上に恋愛小説が流行していました。有名な「源氏物語」だってその一つですね。

平安時代の恋愛事情を知った上で、1000年前の恋物語にときめいてみましょう。

恋愛事情1 イケメンの基準

現代のイケメンといえば、高身長・中性的な顔立ち・優しげな人を思い浮かべる人が多いですね。

しかし、1000年前ともなるとイケメンの基準も変わってしまいます。平安時代のイケメンはどのような姿がよいとされていたのでしょう。

当時のイケメンは、「雅男」と呼ばれてました。この「雅男」、どのような人だったかというと色白・細面・目鼻立ちがくっきりしていて、さらにはマナー・常識に長じていて教養の優れた人物でした。

平安時代には個人だけでなく、家柄も非常に重視されていました。天皇家の血筋はほぼ断られることもなく、そうでなくても位の高い役職についている男性貴族は、夜這いも上手く行きやすかったようです。

「源氏物語」の主人公である「光源氏」が宮中でモテモテだった理由はまさに典型的な「雅男」であり、天皇家の血筋を引いていたからです。

恋愛事情2 美女の基準

平安時代の美女の基準はどうだったのでしょうか。

これもまた現代とは違います。
細い目におちょぼ口、そして下膨れでふくよかな女性が好まれたようです。
さらに大きな鍵となるのが「ツヤがあり美しく長い黒髪」でした。わざわざカツラをつけてまで長い黒髪を維持した貴族もいたくらいに、これが平安美人の絶対条件だったのです。

そして男性同様、知的で礼儀を知っていることも大切であり、家柄も重視されました。

絶世の美女といわれる小野小町も、もしかしたらそのような女性だったかもしれません。

恋愛事情3 相手の噂で恋をする

平安女性は、基本的に親しい人以外に顔を見せることはありません。

なので、絵巻物などを見ると、御簾の向こうにいたり、扇で顔を隠していたりするんですね。

では平安男性は、相手のどこを好きになってアタックを始めるのでしょうか?

それはズバリ「気になる女性の噂」なのです。

顔の分からない相手の、家柄・教養などの噂をひたすらあつめ、タイプだとわかれば和歌や夜這いなどのアタックの準備を始めていました。

恋愛事情5 決め手は夜這い

恋をした平安男性は、恋文を送って女性にアピールしたり、垣根の間からどうにか女性の姿を一目見ようとのぞき見たりします。

女性がよく和歌を返すようになり、気が合うと分かると脈ありとなり恋がスタートします。

そして恋の実る決定打は「夜這い」です。
夜、男性がこっそり女性の家へ忍び込みます。
女性にその気がなくても、男性がその家の従者をてなづけて手引きをさせることもあったというくらい、男性も必死です。

そして御簾越しに語り合い、やがて御簾を越えて男性が女性の寝室(しとね)に侵入。

お互い初対面の中でいきなり性行為にはいります。

現代で言えばネットで知り合った人にいきなり夜這いして肌を交わすような物なのでびっくりですね。

和歌での「後朝の歌」(きぬぎぬのうた)とは、肌を交わした次の朝、男性が帰るときに女性に送る和歌でした。

恋愛事情6 三晩肌を交わせば結婚

一夜を共に過ごし、女性へ惚れ込んだ男性は、この後三晩連続で女性の元へ通い、肌を交わします。

この三日目には、「三日の餅」とよばれる餅を食べることで結婚が成立します。

こうして平安貴族の男女が結婚にいたるのです。

平安時代の結婚は、一夫多妻制でした。男性は女性を何人でもめとってもいい時代だったのです。

しかし正妻はひとりだけ、まためとった妻は全員養わなければなりませんでした。正妻以外の女性は「めかけ」と呼ばれました。

現代では、ぴんとこない制度ですが、何人もの女性をめとって養うことができる人はそれ自体ステータスだったのです。

恋愛事情7 10代前半で結婚できる

平安時代の法律では、男性は15歳以上、女性は13歳から婚姻できました。

しかし、平安中期には結婚の低年齢化が進みます。

現代と同じように女性は低年齢になりがちで、13歳どころか10歳未満の女の子を、男性が見初めることもあったのです。

「源氏物語」の光源氏は、当時8歳の紫の上を見初め、半ば強引に家につれて帰っています。

まとめ

平安時代の恋愛事情は、現代の恋愛事情とは大きく違う価値観や習慣があります。
そんな価値観や習慣は、時として古文の理解を苦しめます。

しかし、目の前にいない相手を想って切なくなったり、好きな人に出会えた喜びをかみしめたり、別れを惜しむ気持ちは現代と変わりません。

そんな気持ちを31字にぎゅっとつめたのが恋歌なのです。

1000年前の恋物語、改めて読み直してみてはいかがでしょうか。

執筆者:てんもんたまご
天文学者を夢見て浪人の末に物理学科へ入学。卒業後は、理系としての知識や実験教室でのアルバイト経験を活かしてライターとして活躍中。大好物は、紅茶とあんみつ。


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