「反復と繰り返し」こそ王道の勉強方法!忘れがちな知識定着の原則
「見たものすべて覚えてられたらいいのに」
「簡単に成績が上がる方法ないかな」
なんて考えてしまっていませんか?
勉強にはある程度の効率は存在しますが、とにかく勉強時間の確保と学習の反復は欠かせません。
これは脳科学でも証明されていることなのです。
脳の中で記憶をつかさどる「海馬」
脳の中で記憶との関係が深いのが「海馬」という部分です。
海馬は、太さ1cm、長さ5cmほどの甘エビ程度の大きさしかありませんが、立派な脳の一部です。
海馬がなぜ大切かというと、この海馬には脳に送られてきた情報が「大切な情報かどうか」を判断するところなのです。
ここで「大切な情報」だと判断されると、大脳皮質におくられて記憶として長期保存されるわけです。
受験勉強は頭に残りにくい
受験生にとっては参考書の内容がどんどん海馬に選ばれて長期保存されてほしいですよね?
しかしこの海馬は、「生きていくために必要不可欠かどうか」で大切かどうか判断します。
なので「ナイフで手を切ると痛い」「子どもの時こんな大けがをした」「この食べ物はおいしい」などといった情報は記憶に残りやすいですが、受験勉強の内容は生死には関わらないので記憶に残りにくいわけです。
ここで反復学習です。海馬は「生死に関わる情報」を残すものの、何度も何度も繰り返し脳におくられてきた情報に対しては「これ生きるために必要な情報なのかも」と判断して保存してくれるようになるのです。
つまり反復学習すれば、勉強の内容も「生きていくための情報」として長期保存できるようになるのです。
復習の頻度がわかる?エビングハウス忘却曲線
100年以上前にドイツの心理学者エビングハウスが行ったある実験があります。その実験は無意味な単語を10個覚えてもらい、どれだけの時間覚えていられるかというもの。
この実験からわかったのは、人の忘却する速度は大差がなく、図にすると下に垂れ下がったような曲線を描くのです。これは忘却曲線といわれています。
この曲線によると、ヒトは覚えたことのは約半分を4時間後には忘れてしまい、1日後には2/3を忘れ、2日後には1/5も覚えていません。
生死に関わらない無意味な単語を覚えたところで、ヒトの記憶力はその程度のものなのです。
しかし、思い出すことが出来なくても、潜在的には1ヶ月ほど情報は保存されます。いかに反復を行うかで記憶の定着度が変わるのです。
具体的には、
・学習した翌日に1回目
・1週間後に2回目
・3週間後に3回目
・7週間後に4回目
と2ヶ月近くの期間で少しずつ反復すると記憶が定着しやすいようです。
また、同じ情報でも「目で見る」「耳で聞く」「手で書く」などいろいろな形でおくられてくると、海馬は「大切な情報」だと判断しやすくなるのでやり方を変えて脳に刺激を与えましょう。
脳はアウトプットも重視する
脳はインプットよりもアウトプットを重視する傾向があります。
教科書を長時間読み直して得た情報よりも、問題集を解いて得た情報の方が定着しやすいのです。
英単語の勉強でも、ただ単語帳を眺めたり、書いて覚えただけの時よりも、途中で自分で小テストを挟んだ上で反復した方がテストの点がよかったという経験はありませんか?
ある研究でこのような実験を行いました。
被験者を4つのグループに分けて次の方法で暗記してもらいました。
①すべての単語を暗記→すべての単語を再テスト
②間違えた単語を暗記→すべての単語を再テスト
③すべての単語を暗記→間違えた単語を再テスト
④間違えた単語を暗記→すべての単語を再テスト
どのグループがもっとも成績がよかったと思いますか?
この実験ではなんと、①②のグループが③④に二倍以上の差をつけて好成績でした。
「すべての単語を再テスト」したからです。
この結果から、暗記を重視するよりも問題集を何度も解く、自分でテストを繰り返す反復学習が結果的に効率的だということがわかりますね。
感情を持つと記憶が定着しやすい
上記の理由からも生死に関連しない情報は反復するしかありません。
しかし、反復回数を減らすコツはあります。
それは「興味や感情を持つ」ことです。
好奇心を持ったときにでるシータ波という脳波は、反復回数を減らす働きがありますし、感情をつかさどる扁桃体という部分も海馬に働きかけてくれます。
例えば、数学の問題を解いていた「こうすればいいんだ!」と感動したり、歴史の勉強をしていて「この戦に負けた人たちは悔しかったんだろうな」って同情したり、科学の資料集をみて「こんなものもあるんだ!」とおどろいたり、その中でその科目に興味がもてるようになれば記憶力も上がり、勉強も楽しくなるので一石二鳥です。
とはいえ、膨大ま受験勉強すべてに関心を持ったり感情を持つのは難しいのでやはり反復練習は欠かせなくなるのです。
まとめ
記憶をつかさどる海馬は「生死に関わる情報」を優先的に覚えます。しかも、ヒトの記憶力は案外頼りになりません。なので反復学習が必要なのです。
反復学習の回数の効果を高めるためにも、好奇心や感情を持つことで記憶力を高めつつ楽しく勉強しましょう!
執筆者:てんもんたまご
天文学者を夢見て浪人の末に物理学科へ入学。
卒業後は、理系としての知識や実験教室でのアルバイト経験を活かしてライターとして活躍中。
大好物は、紅茶とあんみつ。
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