高校数学でつまずきゼロに!数学嫌いのための勉強法
わざわざ言われなくてもわかっているよ、という声が聞こえてきそうですが、数学は高校においてとても大事な科目の1つです。センター試験はもちろん、定期テストや入試におけるボリュームも高く、いわゆる「捨てる科目」ではないにも関わらず、いまいち成績が伸びずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
「答えを見ても納得できない」「わかったつもりで解いたのに間違う」「数学と聞いただけで拒否反応が出る」そんな数学にビクビクする生活は、高校で終わりにしたいもの。数学に対する苦手意識を克服して、きっちり成績を上げるための効率的な勉強法をご紹介しましょう。
数学が嫌いな理由を考える
数学が苦手な人のうち、高校生になってから突然数学ができなくなった人はおそらく少数派で、ほとんどの人が中学生、ひょっとすると小学生の算数の頃から「嫌い」という意識を持っているはずです。なぜ数学が嫌いになってしまったのか、その理由について考えてみましょう。
■授業を聞いていなかった
毎回授業を聞いていなかったわけではないけど、ついぼんやりしていて大切なところを聞き逃してしまった…そんな経験は誰しもあるものです。黒板を書き写して満足してしまい、後で復習の時にノートを開くと「あれ、これはどういうことだろう」と書かれた意味がわからない、ということもあります。
そうしてわからなくなってしまったところを「そのうちまた説明してくれるだろう」と思ってそのままにしていたら、どんどん授業が次へ進んでわからないままになってしまうことがあります。
数学の怖いところは、初歩の初歩、基本の部分がわからないと、その後に習う範囲がすべてわからなくなってしまうところにあります。1次方程式を習う時期に大きくつまずくと、その後の2次方程式や3次、4次でわからないところがどんどん積みあがり、その結果「数学ができない」という状態になりがちなのです。
■授業は聞いていたが、先生の説明がわからない
「いやいや、自分はぼんやりもしていないし、黒板だけ写して安心していたわけでもなかった。先生の授業をちゃんと聞いていたけどわからないんだ!」という人もいるかもしれません。「他の人はわかっているのに、自分だけがわからないのは数学の才能がないのでは?」「真面目に聞いてもわからないのは、もしかして頭が悪いんじゃないか」と落ち込みそうになりますが、先生の授業がわからないのは、頭が悪いせいでも才能がないせいでもありません。
「あの人の話はおもしろい」と聞いて、期待して話してみたらあんまりおもしろくなかった、ということがあるように、表現方法や話し方には人によって相性があります。普段から忙しい先生方は「わかりきったこと」や「わからないという生徒が少ない」ポイントについては、簡単に説明しようとします。中学の時は授業がわかりやすかった、〇〇先生のときは数学が好きだった、という心当たりがあるなら、わからない点について納得がいくまで確認したり、塾の講師から指導を受けることであっけなく解決するかもしれません。
■授業は理解できるが、応用問題を解くのに時間がかかる
授業内容は理解でき、参考書や教科書に書かれていることも納得できるが、テストや模試で応用問題が出ると難しく感じ、解くのに時間がかかるケースもありますね。テストの応用問題の成績を上げる勉強法については後で解説しますが、数学だけでなく現代文の勉強も大切です。国語力、特に読解力を強化することで、応用問題の文章理解を深める効果が期待できます。
■「数学は苦手」という固定観念がある
授業がわからない、勉強が進まない、テストの問題が解けない、何度計算しても間違うとなれば、数学を苦手に感じるのも無理のないことです。しかし、最初から「嫌い、苦手だ」と強く思い過ぎると、理解しよう、わかるようになろうという姿勢自体に影響が出てきてしまいます。
ウソでもよいので、数学を勉強する前に「自分は本当は数学が好きなんだ」「理解できればスラスラ解けるはずなんだ」と自分に暗示をかけましょう。シンプルですが、心構えとして「できない」と思ってしまえばできなくなるし、逆に「できる」と思えばできないことはないのです。
■計算間違いが多い
授業も問題も理解できているのに、計算を間違うから点数が伸びない場合もあります。計算ミスが多いと、数式を間違えているのか計算間違いなのかの分析に時間がかかり、勉強自体の速度が落ちて解答にかかる時間も長くなってしまう、という悪循環となりがちです。
足し算や引き算、掛け算や割り算といった四則演算の基本的な力をつけるには、高校生でも百マス計算やそろばんなどが有効です。勉強前に10分程度行うことで集中力もつくので、計算力が弱い人は毎日の勉強に取り入れてみてもよいでしょう。計算力はトレーニングを続けることで必ずアップしていきます。少しでも早く正確に計算できるようになることは、それだけで数学に対するモチベーションを上げてくれることでしょう。
数学は将来どの程度役に立つのか
数学を苦手に思う理由はわかったけど、そもそも数学が社会で役に立つことなんてあるの?という疑問を持つ人のために、大人になってから数学が必要とされる場面がどの程度あるかについてもご紹介します。
■文系志望に数学は必要ない?
「自分は文系の大学を受験するから、数学の勉強は必要ない」と考えるのは、少し危険かもしれません。確かに試験で数学を選択せずに文系の大学を受験することは可能ですが、もし将来経済や金融系の学部を志望するなら、数学についてある程度知識を深めておくことが重要となってきます。
経済学部や経営学部では、意外と数式を使った講義が多いです。大学受験の先にある就職まで考えると、大学受験で通用する程度の数学知識は持っておいて損はありません。もし「歴史の勉強が思うように進まない」「膨大な量の暗記がムリ」「国語の点数が思ったより伸びない」といった問題も抱えているなら、受験の際に数学を選択することで試験が楽になる場合があります。数学の出題はある程度パターン化されており、慣れてしまえば点数を稼ぐのが比較的容易な科目です。将来の目標と受験対策、高校在学中の評定を高く保つためにも、早い時期に数学を捨ててしまうことは得策とはいえない部分があるでしょう。
■普段の生活で数学が役立つことはあるのか
経済や金融の分野を学ぶなら、数学の勉強は大切であると説明しましたが、大人になり、社会に出てからも思わぬ場面で数学の知識が役に立つことがあります。会社の経営において損益のバランスを予想したり、集客率や原価計算が必要な場面は多いですし、仕事以外の生活でも貯蓄や株の売買、資産運用などで数学的考えができるかどうかはとても重要です。
銀行や証券会社など、金融関係の就職で数学に強いことは有利であり、会計職やコンピュータープログラミング、エンジニアといった職種でも必要になります。「数学の教師か研究者以外で数学を学ぶ人なんかいない」と甘く見ていると、大学へ入学した後に苦労することになる可能性もあるのです。
■将来数学はもっと身近になる
現代社会では、今後ますますIT系に関する技術が発達していきます。家電製品や自動車にもAIが導入されたり、インターネットの世界も高速化が進み、パソコンやスマートフォンでできることはもっと拡大していくでしょう。
市場が拡大するということは、それだけ仕事の需要が増えるということでもあり、現在ITと直接関係のない分野の職業でも、数学を使った業務が増えていくと予想されます。実際にプログラムを組んだりすることがなくても、多くの場面で数学的な考え方を身につけておく必要に迫られる時代がやってくるわけです。会議やプレゼンテーションなどでも、データや数字を使って説明したり、数学的なものの考え方が必要になることはとても多いです。今はピンと来なくても、高校までに学習した数学が「こんなところで役に立つのか」と大人になって驚くことになるでしょう。
数学嫌いが数学好きになるための勉強法
文系志望であっても、教職や研究者を目指すわけではなくても高校数学まではしっかりと学んでおいた方がよいことがわかりましたね。数学を今よりも好きになり、点数をアップさせるための勉強法について見ていきましょう。
■同じ問題を繰り返し解く
数学の勉強は、実はいたってシンプルです。基本的な出題から応用まで、パッと問題を見ただけで「どのように解いていくか」の道筋がわかり、「ふさわしい数式をピックアップ」して「計算する」。これができるようになれば、あとは数式を覚えて問題を解くスピードを早め、正確に計算できればすべての問題は必ず解くことができます。そのためには、とにかく「問題に慣れる」ことが大切です。
問題に慣れるためには、参考書や問題集を何冊も買うより、同じテキストを何度も使って繰り返し解くのがよいでしょう。購入するのは「高校数学」として全体の範囲が網羅されているものと赤本などの受験対策用テキストなど、2~3冊程度を用意します。購入するときには、人気があるものや他人が勧めるものを選んでもよいですが、実際に中味を見て「わかりやすい」と思えるかどうかを重視します。自分にとってわかりやすい文章で解説された参考書が、自分にとってのベスト教材となります。
■鉛筆とノートを使わない勉強法
数学の勉強では、社会や英語に比べると紙とペンを使って問題を解く時間が多くなります。待ち時間やちょっと空いた時間を利用して、という勉強方法が使えないから効率的な学習ができない、と考えがちですが、鉛筆とノートを使わなくても、数学の勉強は可能です。
数学では、勉強する範囲ごとに必要な解法を覚える必要があります。テストや試験などで数学の問題を解いているとき、出題を見て解法をあてはめ、順序立てて解いていく作業はほとんど頭の中で行われているはずです。最終的に解答を記入するときに紙とペンは必要ですが、式をもってきて順番に数字をあてはめ、解答へ導くという作業は紙に書き出さなくても復習できます。数学では頭の中で考える時間をどれくらい早く、また正確な解き方にたどり着けるかが大切です。鉛筆とノートを使わない勉強法を身につけて、空いた時間を有効に活用していきましょう。
■問題の仕分けをする
勉強を続けていると、問題によって身についているものとそうでないものが出てきます。「完全に解ける問題」「解き方はわかるが、解答で間違う問題」「解法にたどりつけない問題」など、テキストや参考書の中で問題を仕分けして、あやふやなものを集中して繰り返し解くようにします。特に「解き方はわかるが解答で間違う問題」は頭の中で記憶としてしっかり定着しておらず、油断すると「解法にたどりつけない問題」になってしまう可能性があります。翌日、1週間後、2週間後とインターバルを置きながら、少なくとも7~10回は同じ問題を解いて手順を記憶に定着させるようにしましょう。
完全に解ける問題についても安心せず、繰り返し解くことで解答にかかるスピードをアップさせることができます。できるものは素早く解けるようにしておけば、余った時間であいまいな問題の見直しや、計算チェックに時間を使えますね。
■大まかな計画を立てよう
数学の勉強は、すでに習った基本の上に積み重なるようにしてできています。高校数学でのつまずきを解消するために、理解度によっては中学数学から見直す必要が出て来る場合もあるでしょう。「高校の範囲だけでも大変なのに、中学までさかのぼらなければならないなんてムリムリ!」と諦めてしまいそうになりますが、正しく理解するためには必要です。
1つの範囲をクリアするのに時間がかかり、全体の学習に影響が出そうで不安なら、数か月~1年単位で大まかな勉強計画を立ててみましょう。勉強を始める前に立てた計画通りにいかないことも多いですが、「今やっている範囲は今月中に終わらせて、来月に入ったら次へ進もう」「今日はもう少し数学の勉強をしたいから、英語の時間を明日20分増やそう」といった調整ができると見通しが立てやすく、安心して勉強できます。
数学の力がついてくると、英語や作文といった他の科目でも、筋道を立てた論理的な考え方をしやすくなるというメリットがあります。生涯年収を計算したり、国や地域によって経済格差を調べたりするときにも高校までに習う数学は役立ちます。将来の可能性が広がる数学を好きになるために、ぜひ紹介した勉強法を活用してみてくださいね。
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