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漢文における置き字とは?簡単に見分けるテクニックを解説!

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漢文で出てくる「置き字」。簡単そうに見えて、使い方や意味が時と場合によって違うため、見分けるのが難しいものです。

しかし、主に使われる置き字はそう多くはありません。実は、その法則や見分け方を覚えてしまえばそれほど難しくなく、簡単に漢文の読解力を上げられます。
そんな置き字の読み方や意味、簡単な見分け方をわかりやすく解説していきます。

漢文における置き字とは?

漢文で書き下し文を作るときに、書いてあるけど読まない文字。それが「置き字」です。

単に置いてあるだけに見える置き字ですが、ただの飾り文字ではなく、訓読しなくても文法上の役割を果しています。前後の漢字の送りがなにその意味が含まれていたり、語調を整えたりする、重要な文字なのです。

置き字は通常、書き下し文にするときは訳に反映せず無視することとなっています。しかし、同じ字でも置き字としてではなく別の意味として使っているときは、書き下し文や日本語訳に入れなければならないため、注意が必要です。

漢文を正しく読み解くには、主な置き字とその働きを正しく理解することが大切です。主な置き字とその働き、この2つをセットで覚えておくと、漢文の読解力がアップします。

主な置き字の種類

それでは、主な置き字とその働きを見ていきましょう。
主な置き字には、「而」「於」「于」「乎」「矣」「焉」「兮」の7字があります。

◇「而」の読み方や意味
読み方:ジ
用法:順接・逆接
順接の場合は直前の語の送りがな「~テ」「~シテ」、逆接の場合、直前の語の送りがな「~モ」「~ドモ」が添えられます。主に前後の句と句をつなぐ働きがありますが、置き字扱いせずに読むことや、名詞として「なんぢ」(おまえ・あなたの意)と読むこともあります。

◇「於」の読み方や意味
読み方:オ
用法:場所・対象・時間・目的・起点・比較・受身など
ほかの語との関係を示す、英語の前置詞のような働きをし、直前に読む文字に送りがな「~ニ」「~ヲ」「~ヨリモ」などが添えられます。「於」は、対象や場所を表す「おイテ」「おケル」と読む場合もあります。

◇「于」の読み方や意味
読み方:ウ
用法:場所・対象・時間・目的・起点・比較・受身など
「於」と同じく、ほかの語との関係を示す前置詞のような働きをします。「于」は置き字として用いられる場合がほとんどです。

◇「乎」の読み方や意味
読み方:コ
用法:場所・対象・時間・目的・起点・比較・受身など
「於」「于」と同じく、ほかの語との関係を示す前置詞のような働きをします。直前に読む文字に送りがな「~ニ」「~ヲ」「~ヨリモ」などが添えられます。「や・か・かな」と読んで、疑問・反語・詠嘆・呼びかけを表すこともあります。

◇「矣」の読み方や意味
読み方:イ
用法:断定・強調・感嘆
文末に置かれて、意味を添える終助詞のように用いて、語調を強める働きをします。

◇「焉」の読み方や意味
読み方:エン
用法:断定・強調・感嘆・疑問
文末に置かれて、意味を添える終助詞のように用いて、語調を強める働きをします。「焉」は、「いづクンゾ・いづクニ(カ)」と読んで疑問・反語を表したり、「これ・ここ」と読んだりすることもあります。

◇「兮」の読み方や意味
読み方:ケイ
用法:整調
詩などの中で、文のリズム・語調を整えるために用います。

知れば簡単!置き字を見分けるテクニック!

置き字かそうでないかは、覚えてしまえば簡単ですので、実際にそれぞれの漢字の見分け方のコツを見ていきましょう。なお「兮(ケイ)」に関しては、置き字でのみ使われる漢字のため、ここでは省略しています。

◇而(ジ)の見分け方
「而」は以下のように見分けることができます。

・文頭にある場合…送りがな「シテ」が付いていれば「順接」の接続詞
・文頭にある場合…送りがな「レドモ」「ルニ」「ドモ」が付いていれば「逆接」の接続詞
・会話文の中で主語や呼びかけの対象になっている場合…名詞「なんぢ」
・「ニ」「ヲ」「ノ」などの助詞が送りがなとして付いている場合…名詞「なんぢ」
・上記に当てはまらず、送りがな・返り点が付いていない場合…置き字

◇於(オ)の見分け方
於(オ)の見分け方は、簡単です。

・「イテ」「ケル」の送りがなが付いていない場合…置き字
・「イテ」「ケル」の送りがなが付いている場合…「おイテ」「おケル」と読む

また、「於」の次に来る単語・漢字に「ニ」「ヨリ」「ヨリモ」「ヲ」などの送りがなが付く場合は置き字になるため、こちらも目安になります。

◇于(ウ)の見分け方
「于」は、置き字のほかに「ここニ」という読み方もありますが、置き字として用いられることがほとんどです。
「ここニ」は語調を整える働きがあり、書き下し文には書きますが、訳す必要はありません。「ニ」という送りがながない場合は置き字、「ニ」が付いていたら「ここニ」と読むと覚えましょう。

◇乎(コ)の見分け方
「乎」は、置き字のほかに助詞として使われる場合や状態を表す使い方もあり、書き下し文ではひらがなで書きます。
見分け方は、以下のとおりです。

・文末にある場合…疑問・反語の係助詞「か・や」もしくは詠嘆の終助詞「かな」
・人名の下にある場合…呼びかけの間投助詞「や」
・形容詞や副詞の下にある場合…状態を表す「こ」
・断定を表す語「トシテ」などが付いている場合…「こ」
・上記に当てはまらない場…置き字

◇矣(イ)の見分け方
「矣」は置き字として使われる場合と、詠嘆の終助詞「かな」と読む場合があり、どちらも文末に付きます。

・すぐ上の語が終止形の場合…置き字
・すぐ上の語が体言または連体形の場合…詠嘆の終助詞「かな」

  詠嘆の場合、主語と述語が倒置されることが多いのも特徴です。また助詞のため、書き下し分ではひらかなで書きます。

◇焉(エン)の見分け方
置き字のほかに、疑問詞として疑問・反語の意味を表す場合と、代名詞として読む場合があります。

・文末にあり、送りがな・返り点が付いていない場合…置き字
・述語の上にあり、文末が疑問・反語の係助詞「や」、もしくは活用語の連体形の場合…疑問詞「いづクンゾ・いづクニ(カ)」
・述語の上にあり、文末が「ンヤ」の場合…反語を表す「いづクンゾ・いづクニ(カ)」
・「ニ」「ヨリ」が付いている場合…「これ・ここ」

「いづクンゾ」は「どうして~か」という理由を尋ねる疑問詞、「いづクニ(カ)」は「どこに~か」という場所を尋ねる疑問詞です。

漢文の読解力アップには置き字が大事!

漢文を読み解くうえで、置き字はとても重要です。「漢文を訳しなさい」「漢文を書き下し文にしなさい」といった問題を解くためには、置き字を理解していなければなりません。また、「次の各文の置き字に注意して、空欄に送り仮名を補いなさい」といった置き字についての設問も、漢文の基礎としてよく出る問題です。

主な置き字はたったの7つです。主な置き字の働きとその見分け方をセットで覚えて、漢文の読解力をアップしましょう。


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