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英語の文法は本当に必要ない?勉強が進まない英文法の考え方

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英語が好きな人でも、なんとなくモチベーションを保つのが難しい英文法。単語を覚えたり、発音を聞いたりするのは苦じゃなくても、文法となるとなかなか勉強が進まなくて悩みがちです。

「そもそも英文法って勉強する意味あるの?」「英文法なんてやらなくても、英語を話せる人はたくさんいるのでは」といった疑問も浮かんできますね。

英語を勉強するにあたり、文法はどの程度大切なのでしょう。
また、英文法はどこまで理解するべきなのでしょうか。 英語の文法を知らなくても英語は話せるのか 結論からいうと、英語の文法を勉強しなくても英語を話すことは可能です。

日本人が国語を勉強しないうちから日本語を話せるように、英語を母国語としている人も文法を意識して話していないことが多いのです。

文法を知らなくても英語を話すことはできる

文部科学省が設定している学生の英語力到達目標は、中学卒業程度で英検3級、高校卒業程度で準2級~2級となっています。英検準2級だと、ヨーロッパで定められている語学能力のうち「A2」というランクにあたり、これは身近で日常的な会話やよく使われる表現について理解できるレベルです。

実際に英検準2級程度の英語力を持ち、海外の人と英語を使って話したことのある人は、自分の英語力について「日常的でごく簡単なコミュニケーションなら何とか」といった実感を持つのではないでしょうか。簡単な日常会話であれば、英語の文法はまださほど重要ではなく、英語を母国語とする人々であっても文法を間違えて使ったり、時に片言のように話す人も少なくありません。

これは「英語を理解する力」だけでなく、単に「口下手である」ことが問題となっているケースもあります。

英語の文法を知らないコミュニケーションには限界がある

「英語の文法を知らなくても会話はできる」とはいえ、文法を軽視してできる会話はごく限定された範囲に限られます。

海外旅行先のお店で何かを注文したり、観光客に道を訊かれるくらいならそれでも何とかなるかもしれません。しかし、少し専門的な内容や仕事についての話、文学作品や時事問題についての考察などについて語るためには、もう少し踏み込んで語学を理解しないと困難です。

受験勉強として英文法の知識を身につける必要があるのは、将来的にそういった語学理解、文化理解を可能にするため、という目的もあります。
日本で生まれ育った人は、国語を習う前から日本語を話しますが「日本語を話せるから国語の授業は必要ない」とはならないでしょう。

文法ばかりにとらわれる必要はありませんが、リスニングやスピーキングと並行し、英語で書かれた長文を読み解ける正しい文法理解は英語習得において必須であり、近道でもあるといえるのです。

わかっている文法を説明するのは難しい

英語の文法は中学、高校と進むにつれて、次第に難しくなっていきます。

現在英文法で頭を悩ませている人でも”I like you”が”I you like”や”you like I”とはならないことについては理解しているでしょう。

当たり前のようにわかっていても、なぜ”I you like”や”You like I”ではなく”I like you”なのか、これを誰かに説明しようとすると、意外と難しいことに気づきます。

「英語にはSVCという文型があって…」と始めると、簡単な文法でも何となく難しく聞こえてしまいますね。 英文法を日本語で伝えるために、教える側も「どうすれば1番わかりやすく伝えられるか」について苦心しています。

もともと日本語にない法則を説明するのですから、どうしてもわかりにくくなってしまいます。

そのハードルをくぐり抜けて理解さえできれば、今よくわからないと感じる文法も”I like you”と同じくらい当たり前のことになるわけです。

あいまいになりがちな英文法をチェックしてみよう 英語における文法の大切さと説明の難しさ、理解できれば「当たり前」に変わることなどがわかったところで、
学習の中であいまいになりがちな基本文法をいくつかピックアップしてみましょう。

自動詞と他動詞の見分け方を知る

英語の文法において要となるものの1つに動詞があります。動詞を覚える際には綴りや意味だけでなく、
それが自動詞として使われる場合と他動詞として使われる場合の両方を意識することが重要です。

重要であるにもかかわらず、自動詞と他動詞の違いについて日本語でわかりやすく伝えるのは難しく、わかったようなわからないような気分になりがちです。

「主語+動詞で完結するかどうかで見分ける」「『~を』や『~に』が含まれないのが自動詞」などさまざまな説明がありますが、
ここでは「主語の目的を前置詞で指定する動詞=自動詞」「行動がはっきりしていて前置詞を置かなくてもよい動詞=他動詞」として説明してみましょう。

主語のYou がlook(視線を向ける)という行為を目的語である”him”に対して行っていますが、”at”という前置詞がついており、「彼の方へ(目線を動かして)視線を向けた」というニュアンスとなり、自動詞となります。

これに対して”You saw him”では主語のYouが「彼」をsee(見えた、見かけた)している状態であるため、目的語の前に前置詞を置かない他動詞、と見ることができるのです。

ちなみに、lookは「~に見える」という意味で使われる場合他動詞となり、”You look pale”(顔色が悪く見えるよ)のように使われます。

自動詞と他動詞では、現在分詞になったときにも意味が変わってきますので注意しましょう。

大人も間違えやすいtheの使い方

自動詞と他動詞の例文に登場した”the”は「冠詞」と呼ばれます。この冠詞の使い方もなかなか難しく、大学生や社会人でも間違えがちです。

どういった文脈で冠詞を使用するかは「そこにいる全員がどれを指しているかが明らかにわかるかどうか」で判断します。 基本的に、冠詞は”Sun”や”Moon”などこの世に1つしかなく、皆が知っている物についても冠詞をつけることができます。“You watched the movie”というとき、映画はこの世にたくさんありますが、その映画について話題にしている人との間で「あー、あの映画ね」とわかっている場合に冠詞を付けることができます。

「1番最近観た映画」や「1番最後に見た映画」も1本だけ、と限定できるので”The latest (last) movie I’ve seen recently”と冠詞が付きます。 逆に”What kind of movie do you like?”のように、「数ある映画の中でどれが好きか」と聞く場合にtheは付きません。

theを付けるとしたら”What movie do you like the most ”のように、「1番」と限定できるmostの前に付けることになります。

ちなみに”that is a problem”と”that is the problem”では大きく意味が違ってきます。

前者が「数ある問題のうちの1つ」というニュアンスであるのに対して、後者は「それが1番の問題だ」となるんですね。

第5文型を意識する

SV、SVCといった5つの文型の中で、特に意識したいのが「SVOC」、第5文型です。

「SはOがCであるのを~する」というかたちを取る第5文型は”I saw him sitting (彼が座っているのを見た)”や”She had her bag stolen(彼女のバッグが盗まれた)”といった文章で表されます。不定詞や補語Cとしての形容詞など、第5文型は英文法の頻出問題です。

第5文型を意識していれば”I saw him sitting with his younger sister(彼が妹と座っているのを見た)”のように、

「誰と」という修飾語句が追加されても意味を取ることができます。 覚える単語を増やしていけば“Funds from her client enabled Caray to buy a real estate(彼女の顧客からの資金がキャリーに不動産を買うことを可能にさせた)”といった文章もスムーズに理解できるようになるので、第5文型には早いうちから慣れておくことをおすすめします。

構文について

英語の文法を勉強するとき、特に受験で長文読解などをする際「構文」に慣れることが大切、といわれます。

構文もSVOCなどの文型や品詞といった文法と区別しにくいものです。

文型や品詞が英語自体の成り立ちや順番を決めているのに対し、構文は英語で書かれた文章の組み立て方を意味しています。

“There is a problem that we cannot make an appointment with our client”という文があるとき「問題が1つある」「顧客と会う約束ができない」という2つの文を、thatという節が繋いで「顧客にアポイントを取れない問題がある」という1つの文となっているのですが、これが更に長く複雑になってくると、全体の意味をつかむのが難しくなってしまいます。

構文に慣れるポイントとしては ・文章の中にある主語と目的語を見つける ・句や節を見つける ・多くの長文に触れ、構文に慣れる の3つを繰り返し、読解のスピードと正確さを上げましょう。接続詞の代わりに分詞を使う「分詞構文」は、書き換え問題などでよく出題されます。

2つある文章のうち1つめの接続詞と主語を消し、動詞を現在分詞にして1つの構文にするという形式も、繰り返し解いていくことで「これは分詞構文だな」と見つけやすくなるでしょう。

英語の文法には、繰り返し解くことで慣れていく勉強タイプのものだけでなく、単語の意味や使われ方を「英語感覚」として正しくつかむ必要もあるとわかります。

受験勉強はもちろんですが、文法の理解を深めることでコミュニケーションとしての英語力、理解力もアップさせることができるのです。

「英文法は得意だけど話せない、聞き取れない」という場合 「文法や読み書きの問題は好きだけど、リスニングや話すのが苦手」という人は、どのような点に気をつけるとよいのでしょう。

リスニングが追いつかなくなる理由とは

紙の上で比較的じっくりと取り組める文章問題に対して、聞き取り問題では話者が話すのと同じスピードで英語を理解しなければなりません。

このときに気をつけたいのが「発音の変化」と「訳すタイミング」です。 聞き取り練習をしていると、聞こえてくる声が自分の知っている単語の発音と結びつかなかったり「この単語がこんな風に発音されるのか」と違和感を感じることがあります。

これは英語が話される際に「連結」「脱落」「同化」といった発音の変化が、日本語よりも頻繁に起こるためです。”I’ve got to go”などは、アメリカ英語だと「アイフガラゴゥ」のように聞こえます。日本語でも「暖かい(あたたかい)」を実際には「あったかい」のように発音するのと似ています。

他にもアクセントの位置によっても聞こえ方が変わったり、「アウトレット」「トリートメント」など、和製英語として聞き慣れた単語が耳に入ってくると「これは英語では何という意味になるんだっけ」と聞きながら訳そうとしたりします。この「聞き取った英単語を和訳しながら聞く」という作業は、後に続く文章や会話を聞き逃す原因となりやすいのです。

リスニングではまず全体の会話を一旦訳さずに英語のまま聞き取り、会話が終わってから訳す癖をつけるようにしましょう。長文の記述問題においても、英語のまま読んで書かれた内容を英語でイメージできると読解のスピードは上がります。英語をいちいち和訳せず理解するには、文法の知識が大きな助けとなるでしょう。

話すときには文法の間違いを恐れない

英検や受験の面接などでは、英語で話す、表現することも求められます。本来は正しい文法で話すことが必要ですが、学生が受ける多くの試験では文法の間違いは筆記試験よりも重視されません。英検準2~2級の試験では、多少文法が違っていても「一生懸命伝えようとする」姿勢を評価されます。

「この場合は現在完了形の方がいいのかな」「onとinのどっちを使えばいいんだろう」と考えていると、沈黙の時間が増えてしまいます。ネイティブでない限り、完璧な発音や文法で滑らかに話すのは難しいのですから、間違いを恐れず、とにかく口に出して話す勇気を持つことが大切です。

環境問題や時事問題といった切り口で質問されると「何か難しいことを英語で言わなければ」と構えてしまいがちですが、「環境問題のために、私は毎日ゴミを分けています」と言ってもよいのです。自分の考えを話すときには自分が使う英語が正解となる、くらいの姿勢で挑みましょう。

中学から高校~大学と、学習が進むごとに英語学習は難しくなるイメージですが、文法は意外に基礎の部分から大きく複雑になることはなく、大きな土台に肉付けとして単語の数が増えたり、構文や修飾句の使われ方で長文になっているだけだとわかります。

日本語にない英語の感覚やイメージをつかむ際にも、体系的な文法を学ぶことが大きな助けとなる場合も多いのです。 英語学習の中で長く役立てる英文法を深く理解するには、自分が納得できる説明に早く繋がることが大切です。学習塾や予備校の利用も検討しつつ、しっかりと英文法の土台を固めていきましょう。

執筆者:木村紫 
貿易業務とライター業を兼務するシングルマザー。人より少し豊かな人生経験から、恋愛・健康・転職・ライフハックなど、様々なジャンルで執筆活動中。ダメな人への優しいまなざしに定評がある。


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