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大学入学共通テストが予定通り2021年1月実施ってホント!?

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2021年1月予定の大学入学共通テストを「予定通り実施する」と大学入試センター理事長がコメントしました。センター試験から制度が変わることや、英語試験や記述式問題の扱い方など、不安も大きい大学入学共通テストで、2020年6月時点で分かっている情報や今後の流れをまとめます。

2021年1月の大学入学共通テストは予定通り

2020年5月22日、大学入試センターの山本裕樹理事長は2021年1月予定の大学入学共通テストを日程通り実施すると発言しました。一般的なイベントに比べて感染リスクが低いと判断して、予定通り実施のための準備を進めているとのことです。

◇大学入試センター理事長の発言のポイント
山本理事長は、2020年5月22日の自民党の9月入学制に関する検討会で予定通りの実施を発言しました。2021年1月から新しくスタートする大学入学共通テスト。大学入試センター試験に代わる大規模な試験で、受験生にとっては最初の大きなハードルです。全国約700会場でおよそ50万人の受験生が新テストにチャレンジします。

これほど大人数の集団試験を実施するのは「3密」など、感染予防対策をきちんとクリアできるのかが心配されていました。山本理事長は、「なぜ予定通りで実施するのか」という理由について、以下のように説明しています。

・受験生同士の席の間隔が空いていていること
・県境を越えた移動がほとんどなく、地元で受験する学生が多いこと

さらに、ソーシャルディスタンスを含めた感染防止のため、「試験室を増やす」といったこれまでにない大胆な対策が必要であると発言しました。

◇入試日程の後ろ倒しはほぼ実現しない?
一斉休校の影響や、9月入学制の議論がはじまったことで、受験生や高校や大学も「大学入試を1ヵ月後ろ倒しにしたほうが良いのではないか」という意見も高まっています。まず、文部科学省は、全国高校長協会(全高長)を通じて大学入試日程に関する高校側の考えを調査。

全国の国公立や私立高校5,276校のうち2020年6月10日午後5時までに4,190校から回答がありました。調査結果のポイントは以下の通りです。

回答内容

割合

「大学入学共通テストを予定通り実施すべき」

30%

「予定通り準備を進めながら予備日を設けるべき」

39

合計

69%

合計69%の高校は、基本的に大学入学共通テストは予定のまま2021年1月16日、17日実施でOKという考えです。一方で、「後ろ倒しをすべき」という回答は31%。つまり、7割の高校は「このまま大学入学共通テストを予定通り実施してほしい」、3割は「できれば後ろ倒しして試験の延期を希望している」ということが分かりました。

また、大学ごとの受験日程もメインとなる一般選抜は「予定通りの実施を希望する高校」は69%、「後ろ倒しをすべき」という回答は31%でした。7:3の割合で分かれた高校側の意見の背景には、それぞれの高校が抱える新型コロナウイルスによる影響が考えられます。予定通りの実施を求める高校の意見の中には以下のような内容が目立ちます。

・これから感染状況がどうなるか分からない以上、このままの日程で進めるほうがいい
・例年通りの受験日程に向けて勉強を進めている受験生のモチベーションが下がるおそれがある

一方で、後ろ倒しを希望する高校の意見には、以下の内容が多く集まりました。

・公平に受験するには学習の遅れを取り戻す期間が必要
・早いうちに入試日程を変更すれば、受験生が安心して勉強に取り組める

特に、注目したいのは「入試日程を変更しなければ、学習の遅れを回復できる見込みがない」という回答が全体の31%の高校うち47%もあったことです。今回の新型コロナウイルスによる休校の状況は全国でも差が出ました。

特に、感染者数が多く確認された1都3県と北海道では、休校期間が3ヶ月にもおよび、その他の府県の学校との学習進度の遅れが心配されています。

◇受験生はどう感じている?
静岡県の受験生へのインタビューでは、地域や学校によって、「休校期間の長さやオンライン学習があったかなかったかで、差がついているかもしれない」という不安を感じているのが分かりました。一方で、「ゴールが明確になった」「受験の条件はみんな一緒」というように大変な状況の中、前向きに受験に取り組む声もありました。

1~3ヵ月という休校期間で学校の授業の進度が遅れたり、自分たちで取り組むべき勉強がうまくできなかったりする不安は、全国の受験生が共通で感じている内容ではないでしょうか。例年なら「夏休みの約40日間で足りないところをカバーする」「秋以降の受験直前期の課題を発見して心配な部分をつぶしていく」といった対策ができます。

しかし、2021年1月の入試を目標とする受験生は、夏休みにやらなければいけない復習や補習が山積みです。

◇受験日程の最終決定に注意しよう
2020年6月時点で分かっている2021年1月入試の受験日程をもう一度おさらいしましょう。

・大学入学共通テストは予定通り2021年1月16日〜17日の2日間で実施予定です
・1月16日・17日は『第1日程』、さらに6月19日に新しく1月30日・31日を『第2日程』として設定することが決定しました
・第2日程は現役高校生のみ(浪人生は不可)が学習の遅れを理由に選択できます
・6月19日現在、第2日程の詳細な申し込み条件などは未定です
6月中に大学入学共通テストの最終的な日程が決定されます
・感染予防対策のため大学入学共通テストの試験日程が増える(2日間→3日間)可能性は低いです
・各大学が実施する入学試験(一般選抜など)はそれぞれの大学の判断がどうなるかまだわかりません(後ろ倒しする大学も出てくるかも)

6月中に大学入試センターから正式に日程に関する発表があるでしょう。今年の受験はまだまだこの先どのように変更されるかわかりません。必ず大学入学共通テストについて予定通り行われるのか、特別な配慮や試験の受け方などに変更はないのか、確認してい行きましょう。

大学入学共通テストとは

大学入学共通テストは、2021年入学者選抜で2021年1月16日(土)・17日(日)に実施される試験です。2020年1月に実施された最後の大学入学センター試験(いわゆるセンター試験)が新しく生まれ変わります。これまでのセンター試験をベースにして、より一層思考力や判断力を問う問題や試験スタイルになる予定です。

しかし、基本的にはセンター試験と大きな変化はないと考えられます。なぜなら、高校の学習内容のうち、主に2年生までの範囲で基礎的な学力を測る試験になるのは、センター試験と同様だからです。

センター試験とほぼ変わらない?気になる「英語」と「出題傾向」

「センター試験よりも応用力や新しい学力が必要なのでは?」と心配する声もありますが、実際はどうなのでしょうか。

◇共通点
「センター試験」「大学入学共通テスト」の共通するポイントを見ておきましょう。

【実施時期】
1月中旬の土日2日間

【出題範囲】
センター試験と同じ6教科30科目

【出題形式】
すべてマーク方式

【英語】
リスニングがある

【両方の試験に共通する出題傾向】
センター試験の出題範囲や出題傾向は基本的に変わりません。各大学の入学試験と異なるのは、「高校で学習した基礎的な内容がしっかりと身についているかを測る試験」ということです。

そのため、教科書に登場する知識や考え方は、最低限押さえましょう。ただ、ほとんどの受験生が答えられないような奇問珍問や難解な知識を答えさせる問題はまず出題されません。

◇相違点
続いて、大学入学共通テストで新しく変わるポイントを具体的に見ていきます。

【試験時間】
「数学I」「数学I・数学A」の試験時間は、センター試験では60分でしたが、大学入学共通テストでは70分に。10分延長される予定です。

【英語】
センター試験では『筆記』と呼ばれていた領域が、大学入学共通テストでは『リーディング』に変更されます。

【英語の配点の変更】
英語の配点は、これまでのセンター試験は『筆記』が200点、『リスニング』が50点、合計250点でした。新しい大学入学共通テストでは、合計点が200点に変更されます。詳しくは、『リーディング』100点、『リスニング』100点です。

【共通テストの出題傾向の特徴】
①思考力や応用力が重視される
知識のネットワークを生かして、2つのものの組み合わせや比較、推測させる問題が増えます。例えば、2つの資料の内容を理解したうえで、その共通点や違いを解答させる問題に対応しなければなりません。また、ただ答えそのものが分かるだけではなくて、回答にいたるプロセスを測る問題も登場します。

1つの結果を受けて、より具体的な思考や推測が求められます。最初の答えに基づいて、受験生によって次に解くべき問題が異なったり、最終結論が異なったりするケースもあるでしょう。つまり、「この問題の答えは1つしない」といった単純なアプローチでは対応が難しくなります。

②学校の授業や日常生活を意識した出題が増える
社会や理科で学校の課題研究を想定した問題が増える予定です。教科書通りの内容から離れて、自分なりの仮説や推論に基づいて学習を深めるイメージの出題が目立つようになります。

また、日常生活のさまざまなシーンが出題のテーマに上がる可能性もあるでしょう。特に、政治や経済、法律などをテーマにした新聞記事やビジネス会話、討論内容の活用が増えると予想されています。省庁が発行している白書の文章や六法全書といった専門的な文章を読み解く力も身につけるのが望ましいでしょう。

◇英語民間試験や記述式問題はどうなった?
大学入学共通テストでは、「採点が難しかった思考力や判断力を問う内容にしよう」といった改革が進められる予定でした。しかし、2019年にニュースで話題になった英語民間試験は、2021年1月からの入試では導入が断念されています。なぜなら、「少なくとも2024年度までは英語民間試験の活用はない」と文部科学大臣が発言したからです。

また、センター試験の改革で注目された記述式問題の導入も延期が決まっています。つまり、2021年1月の大学入学共通テストは、「ほぼセンター試験と変わらないスタイル」「ところどころ試験時間や配点の変更、出題傾向が思考力よりになる」といったイメージで実施されるでしょう。

模試はどうなる?

新型コロナウイルスで、これまでのように模試を開催するのが難しい状況となっています。それでは、新テストに対応した大学入学共通テスト模試はどうなるのでしょうか。主な全国模試の動きを見てみましょう。

◇河合塾|全統共通テスト模試(マーク式)
2020年6月17日現在、全統模試のうち、以下の模試が中止と決まっています。

・第2回全統共通テスト模試
・第2回全統記述模試
・第2回全統高2模試
・第2回全統高1模試 など

なお、各テストの第1回分は「特別受験サービス」で実施されました。「特別受験サービス」とは、公開会場の試験の代わりに郵送で自宅に届いた問題を解答して、返送する試験スタイルです。申し込みは河合塾の公式サイトで、受験料の支払いはコンビニやゆうちょATMから可能でした。第2回の模試についても一般生を対象に「特別受験サービス」が行われる予定です。

◇東進ハイスクール|共通テスト本番レベル模試
2ヵ月ごとに全国の東進ハイスクールや東進衛星予備校、早稲田塾を試験会場にして実施されています。2020年度は第2回まで開催済で、第3回は2020年8月23日(申し込み締め切り2020年8月20日)実施予定です。大学入学共通テストの試行調査を参考に、「同じ出題形式かつ同じレベルの出題内容にする」という文字通り本番レベルの模試になっています。

◇駿台|駿台atama+共通テスト模試
自宅でオンライン受験ができる大学入学共通テストに合わせた全国模試です。受験は、自宅のパソコンで行います。スマーツフォンやタブレットは利用できないので注意してください。高校3年生や高校卒業生が対象で、受験料は無料です。2020年7月18日(土)までに受付を済ませれば、2020年7月27日(月)~2020年8月9日(日)の実施期間中にいつでも受験できます。

返却は2020年8月下旬の予定です。Web返却なので、個人成績表のチェックも自宅でできます。このように、新型コロナウイルス感染で、大学入学共通テストに対応する模試も公開会場から郵送受験、オンライン受験に切り替える動きが加速している傾向です。

まとめ

2020年6月時点で大学入学共通テストは、2021年1月に予定通り実施される見通しです。最終的な決定が2020年6月中に発表されるので、必ず今後の動きをチェックしておきましょう。新しい大学入学共通テストは、大学受験改革の目玉で思考力や判断力、英語においてはセンター試験よりも、さらにコミュニケーションスキルが求められる試験になる方針でした。

しかし、さまざまな事情の結果、2021年1月の試験では英語民間試験の活用や記述式問題の導入は見送られています。そのため、センター試験から大学入学共通テストの変更点は、それほど大きなものにはならないでしょう。しかし、出題傾向や試験の実施スタイルで新しくなっている箇所もあるため、「自分の受験する科目や学習に影響がないか」について、しっかりと確認することが重要です。


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