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【2021年度入試】入試改革とコロナで大学受験はどう変わる!?

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長期化が予想される新型コロナウイルスの感染拡大は、2020年度の入試にも大きく影響を与えました。また、2021年度入試からセンター試験の廃止、英語の入試改革の行方など、教育入試改革も加わって混乱が予想されます。2020年5月に入って、ようやく文部科学省から秋に実施される総合型選抜と学校推薦型選抜の受験について通知が出されました。

最大限、受験生に配慮するように求める内容で、一般入試の実施にも影響があると思われます。コロナの影響で、受験勉強のスタイルや受験そのものの流れはどう変わるのか。2020年5月現在で分かっている情報と今後の予測を交えてまとめて詳しくご紹介します。

※一般的に、入試で『年度』の使い方は、2020年度の受験を2021年度入試と呼びます。 (2021年1月(2020年度)実施予定の大学入学共通テストは2021年度入試になります)

2020年度入試の振り返り

2020年度入試(2020年4月入学)は、前代未聞の感染症の拡大で受験生にも大きな影響が及びました。コロナの感染拡大以降、初めての受験となる2021年度以降の受験動向を知る手がかりになるため、おおよその流れを把握しておきましょう。

◇コロナの影響は受験にも
特に、国公立大学の本格的な試験がスタートする2020年2月ごろから、新型コロナウイルス感染拡大によって社会的に注目が集まっていたものの、入試を実施する大学側もまだ入試自体の中止は考えていなかった段階です。全国の公立学校で一斉休校要請が実施されたのは2020年3月2日。一方、国公立大の前期の2次試験は2020年2月25日でした。

2020年1月時点では大半の大学で予定通り試験が実施されましたが、2月に入って大学によって「受験を実施するかどうか」「もし受験生が新型コロナウイルスに感染してしまった場合の対応をどうするか」など、検討が始まりました。2月の時点では、それぞれの大学が受験実施の判断をして、多くの大学でマスクの着用や消毒の徹底など感染予防対策をしたうえで、実施しています。

ただし、北海道大学のように大学職員に新型コロナウイルスの感染者がいた場合は、受験日程を一部変更したり、試験内容を組み替えたりといった対応が取られました。

◇2020年2月25日に何が起こったのか
2020年度入試の分岐点となった2020年2月25日を改めて見ていきましょう。2020年2月25日は国公立大学の2次試験(前期)の実施日でしたが、大半の国公立大の対応は試験1週間前に発表されています。具体的な内容は次の通りです。

・受験生が新型コロナウイルスに感染していた場合、受験を認めない
・感染者の受験生に対して追試やセンター試験の結果で判断するといった特別措置はしない

国公立大の入試では、東京大学の動向が大きな影響を与えます。2020年2月25日の10日前の2月13日に東京大学は公式ホームページで新型コロナウイルス感染拡大に対する大学としての受験方針を発表。内容は、「感染した受験生の受験は認めず、救済措置も行わない」というものでした。

東京大学は、以前から社会情勢の変化があっても、受験に関してブレない対応をしてきた大学です。2010年に感染拡大して、パンデミックが心配された新型インフルエンザのときも、予定通り受験を実施し、救済措置の用意もありませんでした。

追試や救済措置は非常に難しい問題
大学受験では、全国各地から相当数の受験生が訪れます。冬場のため、新型コロナウイルス以前に風邪やインフルエンザの心配もあるうえ、受験会場は大人数が限られたスペースに長時間滞在するものです。非常に感染リスクが高い状態だといえるでしょう。

ただ、新型コロナウイルス感染拡大が社会的に心配されたのは、2020年1月下旬~2月にかけて、受験が本格的に始まる直前のタイミングでした。国や都道府県レベルで緊急事態宣言が出される1ヵ月前だったこともあって、「できるだけ予定通り入試を実施したい」という意図はあったでしょう。

なぜなら、特に国公立大学は後期日程が控えているため、前期の日程を延期したり、追試や救済措置を設けたりしてしまうと、2020年度入試そのものが崩れかねない可能性があったからです。実際、大阪大学は医学部の意見を参考にしながら、社会的情勢や受験生の状況を踏まえた結果、当初の日程で入試が行われました。

追試や救済措置がシンプルに実施しづらい理由は、当初の受験日で受けられなかったといって追試を実施してしまうと、当日受験した受験生との間で不公平が生じる可能性が高まるからです。受験対策の時間が延びるということもあり、公平性の観点から大学としては簡単に行えないのでしょう。

大学によっては、センター試験と調査書の成績に基づいて総合的に合否を判断するとしたケースもありましたが、新型コロナウイルス感染者で、診断書が用意できる受験生のみといった厳格な条件を出していました。

◇文科省は大学に柔軟な対応を求めるにとどまった
大学受験の実施方針は、それぞれの大学が判断して決定するものです。文部科学省も、2020年入試では国として明確な方針は出しませんでした。ただ、受験の実施ができるかどうかは、子どもたちの将来に大きな影響を与えます。受験生の不利益がないように、最大限柔軟な対応を取るように求め、一部変更はありましたが、ほぼ例年のように受験は終わりました。

2021年度入試は教育改革+コロナ対策で大変化?

入試改革やコロナ問題で、入試はどう変わっていくのでしょうか?それぞれ見ていきます。

◇教育入試改革のまとめ
大学入試センター試験の最後の年度となった2020年度入試(2020年4月入学)。2021年1月からは新しく「大学入学共通テスト」がスタート予定です。センター試験の廃止や、新テストの導入と、2021年度入試はこれまでの受験の常識が通用しづらい、難しい対策が求められるため、受験生のプレッシャーはかなりのものがあるでしょう。

しかも、2019年には新テストをめぐっても文部科学省の方針にブレが出て、社会的にも話題になりました。国語と数学の記述式問題導入のほか、特に英語試験を民間のテスト結果で代用するかどうかでもめ、最終的に導入を見送ることに。現段階では、2020年度の導入は中止されて来年度以降の開始に持ち越されています。

◇コロナ以後の受験はどう変わるのか
2021年度の入試は、新型コロナウイルス感染の拡大状況次第で、日に日に情報が更新されるでしょう。なぜなら、新型コロナウイルスの感染者数は、今後も増えたり減ったりを繰り返しながら、長期化が予想されるからです。2020年5月14日には、39県が緊急事態宣言の解除が行われるなど、第1波が収束傾向となっています。

しかし、今後も第2波、第3波という可能性もあるため、ウィルスの働きが活発になりやすい冬場の受験シーズンに再び大きな流行がやってくるかもしれません。そうした中、2020年5月14日、文部科学省は全国の国公私立大学に対して、大学入試のうち総合型選抜と学校推薦型選抜の実施に関する通知を出しました。

高校でも、臨時休校や各種イベントの中止が続いているため、推薦入試の実施に最大限の配慮をするように求めています。主なポイントは、次の通りです。

・部活動や資格・試験の中止や延期のため結果を示せない受験生には、本人のこれまでの努力や大学入学後の意欲を判断材料にして総合的に評価すること
・臨時休校のため、調査書で出席日数や部活動などの記録が不十分でも、受験生の不利益のないようにすること
・新型コロナウイルス感染症の拡大を予防するため、試験内容を多様化すること
例)オンラインを使った面接やプレゼンテーションなど
例)小論文や大学入学後の学習計画書、入学希望理由書など

上記のように、国は2021年度入試の見通しについて、具体的に踏み込んだ内容を発表しました。この通知からさかのぼること1ヵ月半前、2020年4月3日に萩生田文部科学大臣は2021年度入試について会見で言及。その際は、まだ受験生に配慮する対応策を検討している段階だったため、大きく進展したといえます。

2021年2~3月に集中する本格的な受験についても、近日中に基本的な方針が発表されると期待できるのではないでしょうか。

◇現在の高校や大学、予備校の状況
臨時休校の影響で、学習進度が大幅に遅れているのは事実です。そのため、高校では夏休みを返上して授業を行う可能性が高いでしょう。また、2021年度入試では、総合型選抜の出願時期が2020年9月になるため、2019年までのAO入試より1ヵ月程度、後ろ倒しになっています。

そのうえ、新型コロナウイルスの影響で、学習進度が最低1ヵ月は遅れると考えると、受験自体の延期も検討されるかもしれません。ただ、一般入試そのものが2020年5月時点では、まったく分からない状況なので、受験日程が大きく変更される可能性はあります。もともと入試は、「高3の1年間でどこまで学力を伸ばせるか」にかかっています。

そのため、新型コロナウイルスの影響とはいっても、高2までの成績や内申書だけで合否が判断されるとなると、高校も受験生も大混乱となるでしょう。できるだけ非常事態に配慮して、2019年までとは異なる出願基準や評価方法の見直しがされるかもしれません。大学側も新型コロナウイルスによる自粛に対応した動きをしています。

例えば、法政大学は首都圏と地方在住の受験生との情報格差を解消する目的で、大学説明会のオンラインイベントを実施。2020年5月13日に「法政大学オンライン説明会2021度入試編」を無料配信しました。当日は、入学センター長による説明が行われ、実際に入試担当者の生の声を聞くことで、パンフレットやホームページでは見えてこないリアルな情報を提供。受験内容からキャンパスライフ、受験の取り組み方まで多彩な解説を発信しました。

こうしたオンライン説明会は、新型コロナウイルスによる「新しい生活様式」が広まる中で、各大学が実施していくものと考えられます。一方で、予備校の動きはどうなっているでしょうか。例えば、河合塾は「全統模試」の会場受験を中止して自宅受験のみになりました。教室での対面授業が再開できるまで、WEBを使った受講や質問・相談に切り替えています。

また、駿台は人工知能(AI)を活用して、新テスト「大学入学共通テスト」のオンライン模試を準備中。2020年7月27日~8月9日までの期間、2日間を受験生が任意で選択して無料受験できる予定です。このように、国や大学、高校、そして全国模試を実施する予備校まで、いよいよポストコロナに向けた新しい受験へのスタート地点に立ちました。

コロナ社会で志望校選びはどう変わる?

高3の受験生にとって、社会が新型コロナウイルスで刻々と変化する中、学習に取り組むのは大変なこと。そのうえ、2021年度の入試はまだまだ不透明なため、常に最新の受験情報をキャッチする姿勢が大切です。

◇受験情報のチェック
高校から得る情報だけでなく、自分で積極的に受験を検討している大学のホームページを頻繁にチェックしましょう。総合型選抜と学校推薦型選抜を受験する場合は夏までに、一般入試の場合も秋ごろまでには具体的な内容が発表されるはずです。過去の傾向や対策がどこまで役立つか分からないので、とにかく新しい情報をキャッチしたら、受験勉強に生かせるように柔軟に取り組みましょう。

◇志望校選びはバーチャルで?
法政大学のように、オンライン大学説明会を実施した大学も登場しています。しかし、夏に多いオープンキャンパスは今のところ開催されないと思ったほうがいいでしょう。その代わり、大学のHPではバーチャルツアーを公開しているところが増えています。

例えば、岡山大学では、ホームページで津島キャンパスと鹿田キャンパスのバーチャルキャンパスマップを公開。マップ上のボタンをクリックすると、キャンパス内の映像が閲覧できるほか、学生インタビューも再生されます。

志望校選びで実際に大学に訪れたいけど、長距離の移動は自粛で難しい……そんなときは、ぜひバーチャルキャンパスツアーを利用しましょう。パンフレットや公式ホームページの画像や動画とセットでチェックしてみてください。

まとめ

2020年春入学の2020年度入試は、新型コロナウイルス感染拡大の状況でも大きな混乱はなく終わりました。ただ、高校の臨時休校が長引いたことで、受験方法も大きく変わっていくと考えられます。これまでのデータが通用しづらい2021年度入試では、オンラインを活用しながら積極的に情報を取りにいく強い気持ちが大切です。

新型コロナウイルスの感染状況によっては、一般入試も想定していないようなスタイルで実施されるかもしれません。ぜひ日ごろからニュースをはじめ志望校のホームページや受験情報サイトなどをこまめにチェックしてください。


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