高校で数学だけわからなくなってしまった人が成績を上げる方法

中学の頃は得意だったはずの数学が、高校に入ってどんどん成績が下がってしまった、高校で数学の授業が増えてついていけなくなった、そもそも中学の頃から数学は苦手だったけど、高校でもっと苦手になった、他の科目は得意なのに、数学だけがいつも苦手…高校で数学だけがわからなくなる理由には、さまざまな理由が隠れています。
ここでは、大学受験に直結する高校数学の「わからなさ」がどこから来ているのか、何が原因でわからなくなっているのかを見つけて「わかる!」に変える方法についてご紹介します。
高校に入って数学がわからなくなる理由
「中学のときはそこまで苦手じゃなかったのに、高校に入って数学がわからなくなってしまった」という場合、以下のような理由が考えられます。
高校に入ると急に増える数学の授業
中学までは1単元だけだった数学が、高校に入ると授業の数が増えます。
普通科高校の場合「数学I」「数学A」から始まり、学年が上がるごとに「数II」「数B」、「数III」とレベルが上がっていきます。
数Iや数Aでは基礎的なことを学ぶ、とされているにも関わらず、実際には「因数分解のたすきがけ」「三角比」「2次関数」といった新しい解法が満載です。
中学で習った数学との結びつきや、発展のさせ方がわからず、1年の段階で早速数字の迷宮へといざなわれる高校生も少なくないでしょう。
同時進行で進む授業についていけなくなる
数学が「数I~III」「数A~B」に分かれることにより、別の範囲を同時進行で学ぶことになります。
「数I」の授業で抱えたつまづきが解消されないまま「数A」の授業にうつり、そこでも疑問を持ちながら次の「数I」を迎えると、もう次の範囲に進んでしまうわけです。
これが繰り返されることで、徐々に授業のスピードについていけなくなってきます。
学年が上がるごとに広がる「わからなさ」
いくつもの「?」を持ったまま授業を受け続ければ、徐々に先生の言っていることがわからなくなって次第に成績は落ちていきます。
「数III」は「数II」と「数I」を発展させた内容で、「数B」も「数A」をもとに進むため、数学のわからなさや成績が落ちる感覚は年々大きくなっていくのです。恐ろしいですね。
とはいえ、高校で単元が分かれたり、授業数が増える科目は数学だけではありません。国語や英語にも、同じことがいえます。
「他の科目ではついていける」「むしろ得意」と思えるのに、数学だけわからないのはなぜなのでしょう。
高校数学のわからなさを克服することはできるのでしょうか。
「他の科目は得意なのに、数学だけ苦手」は克服できる
結論からいうと、高校の授業で他に得意科目があるなら、数学を得意にすることも充分に可能です。
なぜなら、他の科目と高校数学には以下のような繋がりがあるからです。
高校数学の勉強に必要な「国語」の力
日本の高校で数学を勉強する際、当たり前のことですが授業は日本語で行われ、教科書は日本語で書かれたものを使用します。
中学までは数式の理解と計算力だけでなんとかなるレベルだったかもしれませんが、高校数学では日本語の理解力や構成力を必要とする場面が意外と多いのです。
証明の出題文を理解する力、集合論理での「または・かつ」の使い方など、「答えはわかるのに、どう書いていいかわからない」と悩む人もいます。国語が得意な人には、教科書や参考書に書かれた内容を的確に理解する力や、配点の高い応用問題をスマートに解く文章構成力が備わっているはずです。
現代文の講師として活躍している林修先生が、元々は数学講師であったことは有名です。もちろん彼自身の努力によるところも大きいですが、国語と数学は決して対極にあるものではなく、「学ぶ」という面で共通する部分は大いにあるといえます。
高校数学に必要な「英語」の力
英文和訳や和文英訳など、日本語と英語を翻訳するときの感覚は、数学で解法を理解する感覚と実はよく似ています。
数式は、いってみれば「数の国で使われている言葉」です。英単語を暗記するだけでなく、文法も理解しなければ英語の翻訳ができないように、数学においても式や記号を覚えるだけでは、問題を解く力が身につかないのです。
公式や定理を理解して出題に対する解答を求める流れは、英単語と文法を理解して置き換える作業と似ているな、とわかれば、数学をどう勉強すればよいかの糸口がつかめるのではないでしょうか。
高校数学で意外と活かせる「体育」の力
「体育の成績を上げたら数学ができるようになるのか」といわれると、残念ながらそうはなりません。
ただ、体育や運動系の部活で経験する「基礎練習」や「トレーニング」を続ける力は、数学の計算力をつけるときにも使えます。
「式や定理は理解できるけど計算に時間がかかる」「計算ミスが多くて点数が伸びない」といった問題は、計算力をつけることでクリアできます。計算力をアップさせるには、同じ問題を何度も繰り返し解き続けることが大切です。
「計算の筋トレ」と言い換えてもよいでしょう。
計算力は、毎日続けることで少しずつ早さと正確さが上がります。
計算力がつけば、簡単な問題から難しい問題へのステップアップも可能にします。そして最終的には、大学受験や模試の制限時間内で最高のパフォーマンスができる状態に仕上げられるのです。
こうしてみると、数学に限らず国語や英語、スポーツについても、高校の方が中学よりもレベルの高さを求められていることがわかります。他の科目では高校レベルに対応できいるなら、数学にだってその力を発揮できるはずですよね。
「数学だけ苦手」を作ってしまうのはなぜ?
「他の科目はできるけど、数学だけは苦手」になってしまうのはなぜでしょうか。以下にいくつかの理由を挙げてみました。
苦手意識による「食わず嫌い」
数学の授業が始まって、新しい公式の説明を聞いてわからないところがあったとき、どんな気持ちになるでしょうか。
「どういうことだろう?」と食いついて聞こうとするか、「全然わからない。眠い」とシャットダウンしてしまうかで、その後の理解度が変わることは明らかですね。
説明がわかりにくい点については、数学の先生の話し方や、テキストとの相性が悪い可能性もあります。
授業でわからなかったことが塾や予備校ではわかったり、参考書を変えると目から鱗が落ちるように理解が深まることもあります。
ただ「数学は苦手、無理」と食わず嫌いをしていると、そういった別の機会を得られる機会も失ってしまうでしょう。
「わかったつもり」でわかっていない
授業や教科書の解説は理解できるのに、模試やテストで少し言い方を変えられると途端にわからなくなることはないでしょうか。
習った直後の宿題やテストの成績は良いのに、期末や模試になるとできなくなる場合もあるでしょう。
これは、最初の説明で理解できていた内容について、しっかりと記憶に定着できていないことが原因です。
まったくわからなければ焦りや不安も生まれますが、1度「なるほどな」と感じた内容について復習をしないでいると、学年が上がってレベルアップした内容についていけなくなったり、解答で考え込み時間切れになったりして、受験対策を取るべき時期に苦労することになります。
計算力が弱い
公式の暗記や定理の理解に気を取られていて、基本的な計算力がついていないと「知っていたのに間違えた」と悔しい思いをしがちです。
正しく記憶していても、計算で間違ってしまうと自信がつきにくく、数学を苦手に思う気持ちにも拍車をかけてしまいます。
計算力は、高校数学においても重要な土台となります。複雑な式でも、簡単な計算をコツコツ積み重ねていけば解けてしまうケースもあるのです。
特に数IIIの微積分においては、計算力が勝負を分けるといっても過言ではありません。早く正確に計算できるようになるために、繰り返し何度も同じ問題を解く「計算の筋トレ」を地道に行いましょう。
高校数学の「苦手」を「得意」に変えるためにやるべき事は?
数学の「食わず嫌い」をやめて「わかったつもりではなく、完璧にわかる」まで復習し、毎日コツコツ「計算の筋トレ」を続ければ、数学の力は必ずアップします。高校数学へ勇敢に立ち向かうため、今日から試せる勉強法についてもいくつかご紹介しましょう。
「完全に解ける自信がある」問題は、繰り返し解いてスピードアップを狙う
数学の復習をするときに、わかっている範囲や解ける問題を「これは大丈夫だな」とつい飛ばしてしまうことがあります。
数学の中でせっかく得意な範囲なのに、これを磨かないのはとてももったいないです。
1問にかける時間を短縮すれば、それだけ他の苦手な問題に時間をかけられます。わかっている問題や、完全に解ける問題も繰り返し解き、更にスピーディーに解けるようにしておきましょう。
「時々間違うが、理解はできる」問題には、紙とペンを使わない勉強法がおすすめ
知っていたのにテストでど忘れしてしまう、理解できていても解くのにかなり時間がかかる、という問題は、高校数学の勉強で誰もが1度は経験するあるあるではないでしょうか。
「わかったつもり」を「完全にわかる」へ移行させるには、問いに対する解までの流れを覚え込むしかありません。
数学の勉強は紙とペンを使い、ひたすら問題を解くイメージがありますが、問題を解く流れを覚えるには、参考書を目で追うだけの勉強法もおすすめです。
問いと解答を交互に見て、問いを見れば解答の式が浮かぶようになるまで暗記すれば、公式を選ぶ時間を大幅に削減できます。
「計算筋トレ」は毎日15~20分
計算力をつけるための「計算筋トレ」の考え方は、運動の筋トレとまったく同じです。毎日最低でも15~20分行い、その間に解く問題数やページ数の目標も設定します。
コツコツ続けて15分以内に目標数をクリアできるようになったら、今度は問題数を増やしたり、更に複雑な式の計算へとレベルアップさせていきましょう。大学受験に対応できる、マッチョな計算力が身につくまで続けることが大切です。
「美しい字」は計算ミスから守ってくれる
計算をする際、メモ帳やノートの端などにゴチャゴチャと走り書きしたり、書いた式を消して書き直したりしていると数字を読み間違えたり、流れを見失ったりして計算ミスを誘いがちです。
勉強するときは丁寧かつ大きな字で、しっかりと書き出すようにしましょう。最初はスマートな解にならなくても構いません。丁寧な字で式を書いていると頭もスッキリして、遠回りな式も徐々に最適化できるようになります。
「青チャート」が難しいときは「白チャート」を使ってみる
高校数学の解説書として知られている「青チャート」は、教材として使っている学校も多く、持っている高校生も多い参考書です。
青チャートの正式名は「チャート式」ですが、チャート式には4つの種類があり、それぞれ白・黄・青・赤の順に難易度が高くなっています。
もし青チャートの説明が難しいと感じるなら、白チャートを使って勉強する方法もあります。
チャート式に限らず、自分にフィットする表現や説明で書かれた参考書を見つけることはとても大切です。
] 中学時代に使いやすい参考書があったなら出版社や著者をメモしておき、同じシリーズで高校生向けが出ていないか探してみてもよいでしょう。
「グループ学習」で新たな気づきを得られることも
1人自室で黙々と勉強するのもよいですが、たまには友人同士集まって勉強してみてください。
「こんな風に覚えるのか」「そんな式の使い方もあるんだな」など、他の人の解答から刺激を受けたり、多くの気づきが得られます。
1人だけで到達するのは難しい応用力を身につけたいなら、塾や予備校の特別講座を受けてみるのもおすすめです。
わからないことをそのままにしない
新しく学習した内容に疑問や理解できないところがあれば、できるだけ早く解消することが大切です。
高校数学は、学年が上がるごとにパワーアップしていきます。
わからなさを抱えたまま、放っておいた期間が長引くほど、取り戻すのは大変です。
授業の後で先生に質問したり、数学の得意な友人や先輩に聞く、帰って参考書で確認するなど、できるだけ早めに対策を取るようにしましょう。
いかがでしょうか。高校数学の勉強方法やちょっとしたコツがわかれば、学び方の方法自体は他の科目と大きな違いはありません。
数学に対する苦手意識をなくして繰り返し解くこと、単元ごとに自分が理解しやすい解説を見つけることで、高校数学の成績は必ず上げられますよ。
執筆者:木村紫
貿易業務とライター業を兼務するシングルマザー。人より少し豊かな人生経験から、恋愛・健康・転職・ライフハックなど、様々なジャンルで執筆活動中。ダメな人への優しいまなざしに定評がある。
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