高校のスポーツ推薦とは?入試の流れやメリット・デメリットを徹底解説
高校受験には、部活動やクラブチームで優秀な成績を収めた生徒のための「スポーツ推薦」が存在します。これから受験生になる方のなかには「スポーツの強豪校に入って競技に打ち込みたい」「どのような人が出願できるの?」と興味をお持ちの方もいるかもしれません。
今回は高校受験でスポーツ推薦を検討している受験生や保護者の方に向けて、入試の流れや出願条件を詳しく解説します。メリットやデメリットも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
高校入試のスポーツ推薦とは?
スポーツ推薦の出願条件や試験内容、スケジュールは、通常の入試とは異なります。そこでまずは、スポーツ推薦の概要や流れについて詳しく見ていきましょう。
◇スポーツ推薦の概要
スポーツ推薦は、中学時代にスポーツで優秀な成績を収めた生徒が受けられる特別推薦のことです。学校や教育委員会ごとの出願条件を満たす人のみが出願できます。
出願条件の一例は以下のとおりです。
・地区大会や全国大会で一定以上の成績を残した人
・高校入学後も同じ競技を続ける意志がある人
・中学校長の推薦を受けた人
出願にあたって、最も多いのは高校からスカウトを受けるケースですが、セレクション(オーディション)を受けたり、自己推薦でアピールしたりする方法もあります。また、試験は5科目の学力検査ではなく、面接や実技試験・作文などです。
◇スポーツ推薦の時期や流れ
入試日程の参考として、令和6年度の都立高校と青森山田高校(私立)の出願から合格発表までの日程を表にまとめました。
都立高校 | 青森山田高等学校(私立) | |
出願 | 1月12日~18日 | 12月18日~26日 |
試験 | 1月26日・27日 | 1月11日 |
合格発表 | 2月2日 | 1月18日 |
出願は早くて12月以降ですが、3年生の秋頃までには中学校長を通じて高校から声がかかります。また、全国的に2月上旬には合否がわかるため、万が一不合格でも一般入試の出願が可能です。
スポーツ推薦で高校に入学するメリット3選
スポーツ推薦には大きく分けて3つのメリットがあります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
◇受験勉強の負担が減る
スポーツ推薦では一般入試のような5教科の受験勉強は不要です。おもに調査書や実技試験、面接、作文などで合否を判定します。周りが勉強に時間を割くために部活を引退するなか、3年生になってからも競技に専念できる点はメリットといえます。
ただし、スポーツ推薦は調査書が合否に影響するため3年次の成績も重要です。評価を落とさないよう普段の授業やテストには真剣に取り組みましょう。
◇レベルの高い環境でスポーツに専念できる
スポーツ推薦を実施する高校は、それぞれの競技に適した環境や設備が整っている可能性が高く、競技に専念できます。優秀な生徒や指導者が集まるため、当然練習の質もハイレベルで、部活動に充てる時間を長く取れる点が特徴です。学校によっては午後の時間を部活動に充てられるなど時間割の工夫もあります。
高校生活を通じて競技力を向上させたい方にとっては、理想的な環境がそろっているといえるでしょう。
◇学費面で優遇される可能性がある
スポーツ推薦では、特待制度によって学費が減免されることがあります。調査書の内容や将来性、家庭の所得状況などにもよるため、必ず優遇されるわけではありませんが、経済的負担を軽減できるのはうれしいポイントです。
なお、特待制度の有無や選抜基準は学校によって異なりますので、募集要項などで確認してみましょう。
スポーツ推薦のデメリット3選
スポーツ推薦にはメリットだけでなくデメリットもあります。ここでは、3つのデメリットを詳しく解説します。
◇部活中心の高校生活になる
スポーツ推薦で入学した生徒は、部活の試合などで結果を残すことが期待されています。そのため、必然的に部活に多くの時間を割く高校生活になるでしょう。
朝練や土日の練習試合があるほか、遠方の高校に進学すれば寮生活になることもあります。ほかの生徒のように友人と遊んだり、家族と過ごしたりする時間は減ってしまうかもしれません。
◇部活を辞めづらい
スポーツ推薦は、入学後も競技を続けることが前提の入試制度です。そのため、「部活が嫌になった」「怪我をしてしまった」などの理由があっても、簡単には部活を辞められません。また、スポーツ推薦で特待生になった場合は、退部すると学費の減免がなくなる可能性もあります。
入学後も厳しい環境で競技を続けられるか、レベルの高い集団のなかで努力し続けられるかをよく検討することが大切です。
◇一般入試の受験生と温度差が生まれる
推薦入試は一般入試と時期が異なり、生徒間で温度差が生まれる可能性があります。例えば、令和6年の都立高校入試は、推薦入試のほうが一般入試より1ヵ月ほど早く終わります。
・推薦入試: 1月26日・27日
・一般入試: 2月21日
推薦入試が終わって遊びたくても、一般入試の生徒は試験直前のため、学習に対する熱量やプライベートの過ごし方でトラブルになるケースもあります。自分の入試が終わった後も、日程の違いを認識して配慮する姿勢が大切です。
高校入試のスポーツ推薦の利用は、慎重に検討しよう
スポーツ推薦は、部活で一定の実力があり、高校でも競技を続けたい生徒にとってメリットの多い入試制度です。利用を検討する場合は、学校ごとの選抜基準を確認し、競技成績の向上を目指し、早いうちから努力する必要があります。
また、入学後は厳しい環境で多くの時間を競技に費やす覚悟も必要です。高校3年間の過ごし方を決める選択なので、慎重に検討しましょう。
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