平安貴族は臭い!?知れば知るほど面白い平安文化
古文で出題の多いのが平安文学ですね。しかし平安時代の風習や文化は、現代の生活とはすっかり違うのでイメージができないこともあります。
現代人は人それぞれ多様な生活をしていますが、しきたりを大切にした平安時代では、それぞれきまった生活をしていました。
そんな平安貴族の文化と生活をのぞいてみましょう。
平安貴族の朝は早い
現代は夜も電気をつけて過ごせますし、スマートフォンなど、昼夜逆転してしまうこともあります。
しかし平安時代では、夜は真っ暗なので起きるのも寝るのも早い生活を送っていました。
平安貴族の起床時間はなんと午前3時頃でした。
午前3時頃になると、御所の門をたたく合図である開諸太鼓がなりひびきます。
その音を聞いて目覚めていました。
朝起きて最初にすることは、自分が所属するとされる星の名前を唱えること。平安時代、しきたりも重視されましたが、占いも生活に密着するほど重要視されていました。
身支度を終わらせた後も、西に向かってお祈りをする徹底ぶりです。
その後、その日に行くとよいとされる方角や、行かない方がよい方角などを占ってその日の予定を組み立てました。
占いの結果によってはその日の仕事を休むというほど、何よりも占いの結果を中心として生活していました。
病気に対する治療法はお祓い
平安時代では、現代のように細菌やウイルスの概念はなく、病気の原因は「怨霊」のせいと考えていました。
この怨霊は、死んだ人の霊に限らず、生きている人の生き霊もいるとされていました。
そんな怨霊が恨みをはらさんと、相手を呪うことで体調を崩しているとしていたのです。
そのため、病気になったときの対処法が加持祈祷とよばれるお祓いでした。もちろん医師から飲み薬なども受け取りますが、これを飲むのは怨霊の調伏後だったのです。
仕事は午前中だけ
平安貴族男性の仕事は、主に午前中に終わってしまいます。
昼頃に帰宅すればその日のタスクは終了し、後は自由時間だったのです。
午後は、蹴鞠やすごろくなどの遊びに興じたり、和歌を詠むなど趣味にあけくれたり、文を送ったりしていました。
平安貴族は教養や社交性がステータスでしたから、午後は自分磨きの時間でもありました。
それだけ多くの時間があったので、和歌などの文化が発展したのかもしれませんね。
本名で呼ぶのはタブー
現代では、友人や芸能人を名前で呼ぶのは当たり前ですよね。
しかし、平安貴族は違いました。
宮中はほぼ藤原氏なので偉い人の名字がほぼ同じだった、というのもありますがほかにも理由があるのです。
平安時代において、占いがとても重要視されていたことは前述しました。
本名を当時の言葉で諱(いみな)と言うのですが、これが「忌み名」を連想するとして、本名で呼ぶのは縁起が悪いとされていたのです。
現代からしてみればただの駄洒落なのですが、時代が時代なので当人たちも必死です。
なので、平安貴族男性が家族などの本当に親しい人以外に本名を知らせることはありませんでした。
では、相手をどう呼んでいたかというと、その人がついている官位を用いていました。
現代にたとえると、名前の知らない上司に「課長」「部長」と名前の代わりに呼んでいたのですね。
天皇や上皇は「○○院」と、住んでいる場所で呼ばれていました。
本名で呼ばれないのは女性も同様で、女性は「親の役職名+女」として呼ばれていたり、「女房名+親の役職」として呼ばれていたりしました。後者は「清少納言」が一番有名な例ですね。
平安貴族はほぼお風呂に入っていなかった
現代で、湯船やシャワーが当たり前ですが、平安時代では大量のお湯を沸かすのも大変です。
平安時代の入浴はどうしていたかというと、蒸し風呂が主流でした。つまり、現代で言うところのサウナです。
蒸し風呂ならば少ないお湯の量で汗を流し、同時にたくさんの人が入ることができたので効率がよかったのです。
貴族の屋敷内にあった蒸気風呂は「風呂殿」と呼ばれ、平安の人々に普及していました。
風呂殿で汗を流すことで汚れをうかせ、その体を手ぬぐいで拭くことで体を洗っていました。
現代の感覚で考えると、さっぱりできなさそうですが、当時はそれが最適な方法だったのです。
ちなみに、風呂殿で座るときに尻の下に広げていた布が「風呂敷」の語源になりました。
当時の入浴は蒸気風呂だったわけですが、実はこれも毎日入れるわけではありません。
占いが重要視される平安時代、お風呂でさえも縁起のいい日にしか入ることができなかったのです。
お風呂にほとんどはいることのない平安貴族は、体臭がひどく、不潔だったといわれています。
その結果として、香の文化も発展していきました。
まとめ
平安貴族の生活は、現在では想像もつかないような物ばかりです。
つまらないと感じた古文も、
登場人物が実は早起きだったんだな、
こんなにモテモテの美少年といわれているのに実は体臭がひどいのかな、
ああまた占いにすがっているな、
とわかるようになれば、また違った感想をもてるようにありますよ!
執筆者:てんもんたまご
天文学者を夢見て浪人の末に物理学科へ入学。卒業後は、理系としての知識や実験教室でのアルバイト経験を活かしてライターとして活躍中。大好物は、紅茶とあんみつ。
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