日本史はこう覚える! しっかり身につく暗記法とは
「年代を順番に並べられない」「用語は知っているのに意味を説明できない」「復習した範囲なのに空欄が埋められない」…日本史の勉強は「膨大な量の暗記と戦う作業」と言い換えたいほど、いかに記憶するかが重要となってきます。勉強しなかったわけじゃないのに間違えたり、答えられなかったりするほど悔しいことはないですよね。ここでは、国語や英語、数学といったメイン教科の勉強時間を削らずに、効率よく日本史を覚えるための暗記法についてご紹介します。
実践できてる?効率的な暗記法チェック
日本史に限らず、英語や古文、数学の公式といった教科でも、暗記の時間は必要です。ただでさえ覚えなければならないことがたくさんあるのに、日本史にそこまで時間をかけられない!というのが、受験生がもっとも悩む点ではないでしょうか。まずは、全教科に使える効率的な暗記法ができているかチェックしてみましょう。
■繰り返し復習する
せっかく新しく覚えたことも、復習しなければ時間の経過とともに忘却の彼方へ消え去ってしまいます。覚えたことを無駄にせず、しっかりと記憶に刻むためには復習の時間が欠かせません。覚えたことをすぐ忘れるのは頭が悪いからではなく、定期的に淡々と復習を繰り返す作業が足りないだけなのです。
東京大学大学院教授の池谷裕二氏は、著書『受験脳の作り方』の中で、以下のような復習方法が効率的であるとしています。
“『学習した翌日に、一回目
その一週間後に、二回目
二回目の復習から二週間後に、三回目
三回目の復習から一カ月後に、四回目』“
翌日、1週間後、2週間後、1か月後の計4回復習することで、暗記した内容が忘れにくいものとして記憶に定着していくため、これ以上にたくさん復習をする必要もないのだとか。内容や状況によっては4回復習しても忘れてしまうもの、4回とかからず覚えてしまうものなどもありそうですが、試して損はない学習法ではないでしょうか。
実のところ、日本史にはとても楽しく復習できるある方法が存在するのですが、これについては後でご紹介します。
■色ペンやイラストを駆使する
復習の繰り返しをしていると、どうしても覚えられないものや忘れやすいものが出てくることに気がつきます。記憶に残りにくい場合は、青や赤といった色ペンを活用したり、吹き出しやイラストを描くなどして印象に残る工夫をしてみましょう。
たくさんの色を使い過ぎたり、緻密なイラストを描くと時間がかかり過ぎてしまうので、使う色は黒を含め2-3色までとし、イラストもごく簡単なものにするのがポイント。大事なところには色をつけ、イラストなどのイメージとセットで暗記することで、記憶として呼び起こしやすくすることが目的です。
■覚えることの意味を見つける
「何の意味もない8桁の数字を覚えろ」と言われるより「家族の電話番号だから覚えておいて」と言われた方が覚えやすいですよね。これはただの数字の羅列に「家族の電話番号」という意味ができるからです。更に「緊急の時に携帯がなくてもかけられるように」という意味もできれば、より真剣に覚えようとするでしょう。
このように、意味のない単語や数字をひたすら覚えるのは苦痛でも、覚えることに意味が見つかれば暗記に対する意欲は変わってきます。たとえば「廃藩置県」という用語をただ覚えるよりも「明治の重要な改革」という意味がつき、更に「藩を廃止して代わりに県を置くことで、中央集権型の近代国家へと生まれ変わるために必要だった政策」という意味がつけば、より覚えやすく忘れにくくなります。
■体を動かしながら覚える
メンタリストのDAIGOさんは、自宅で原稿を書くときに「集中力が増すから」という理由で、立ったまま執筆作業をするそうです。脳科学についてのさまざまな研究からも、立ったり歩いたりして体を動かしているときの方が、記憶に関わる脳の領域が活発になることがわかっています。横になった状態や、じっと座ったままで暗記するよりも、立ち上がって暗記したり、部屋をぐるぐると歩きながら覚えた方が頭に入りやすい状態を作れます。
■声に出して覚える
暗記するときに声に出して覚えるようにすると、視覚以外に耳からも情報の刺激が入ってくるので覚えやすくなります。ノートに重要な点を書きながら声に出して読み上げたり、友達同士で問題を出し合ってもよいでしょう。耳からの刺激という意味では、CDなどの音声データを利用したり、動画で日本史を学ぶのも記憶に残りやすい方法です。ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、自分が読み上げたり解説している声を録音して繰り返し聞くのもおすすめですよ。
本史における暗記法のコツ
効率よく暗記する方法についてチェックしたところで、次に日本史の暗記に有効な考え方について見ていきましょう。
■大きな流れから小さな支流へと絞り込む
他の教科よりも日本史の暗記法で特に大切なのは全体の流れをつかむこと、いわゆる「通史」です。日本の成り立ちから現在まで、歴史の流れをまず大まかに理解することから始めます。ここで手を抜くと前後の関係がごっちゃになり、暗記した用語や人名もどの時代で出てくるものかもあいまいになりかねません。
日本史の流れの中で自分はどこが弱いのか、どの時代の理解が不足しているか、という視点を持つことが、結果的に暗記の近道となります。細かい部分を暗記する前に、大きな流れに抜けがないか、時代の順番を間違えていないかをチェックしてから、細部の暗記へと絞り込んでいくようにしましょう。
■志望校によって暗記する量に差が出る
日本史の中で暗記するべき内容や量は、志望校によってかなり差が出てきます。私立であれば学校ごとに頻出の問題があったり、高偏差値や難関校を受験するなら比例して覚える範囲も広くなってゆくでしょう。ただ点数をアップさせたいから、という理由でやみくもに暗記しても、志望校の出題範囲ではそこまで問われないこともあったり、逆に頻出問題のチェックを取りこぼしてしまう可能性もあります。
ある程度通史ができたら、過去問の中からどの程度のレベルまで暗記が必要かを確認して覚える作業に入りましょう。大きな流れをつかんでから細かい部分を暗記する方法は、学校ごとの対策が取りやすいというメリットもあるのです。
■漢字の対策も忘れずに
年代は語呂合わせで暗記できても、用語や人名の漢字が書けなくて困ることも多いもの。過去数年間の頻出問題で、漢字で記入する問題が出やすいものは読むだけでなく、書き取りを繰り返して漢字も覚えるようにします。日本史の勉強は国語の対策にもなりますね。1粒で2度おいしいとポジティブに考え、しっかりと復習しておきましょう。
■用語の説明はセルフ授業で
時代ごとに用語を暗記していても、どのような事件や政策なのかが説明できないと、取り違えやうっかりミスの原因となります。用語の説明を覚えるには、自分で自分に教える「セルフ授業」がおすすめです。授業をするように声に出して説明を行うことで理解が深まり、説明とセットにすることで用語の意味づけも強くなり、暗記した記憶が定着しやすくなります。
友達数人の前で、実際に10~15分程度の授業をしてみるのもよいでしょう。人前で淀みなく、わかりやすく話して聞かせることは意外と難しいことがわかるはず。先生たちの日ごろの努力が実感できて、普段あまり意識することのなかった尊敬の念が沸いてくるかもしれません。
■年代との紐づけは語呂合わせを活用する
日本史の大きな流れから時代ごとの小さな流れに入るなかで、年代の細かな並びも間違えやすい部分です。実際に年代に関する問題は並べ替えや空欄埋めとして出題されることが多く、「どっちが先だったかな」と悩んでいるうちに時間がどんどん過ぎていった、という経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
日本史の流れをつかんで暗記するという基本を踏まえたうえで、年代の細かな並びには語呂合わせを活用するのがおすすめです。年代に関する語呂合わせ集や参考書はたくさん市販されているので、自分が覚えやすいと感じるものを選びましょう。
日本史の暗記・復習が楽しくなる方法
日本史の暗記において重要なポイントを確認したところで、先ほどの「日本史の復習が楽しくなる方法」についてご紹介します。他の教科に比べて暗記する量が多く、メイン教科ほど勉強に時間を割くことのできない日本史は、ちょっと視点を変えるだけで1番楽しく学習できる教科でもあるのです。
■日本史を壮大な長編マンガだと考えてみる
日本史を学んでいくと、ある特定の時代だけとてもワクワクした、ということはないでしょうか。「戦国時代が好きだ」「幕末から明治維新にかけての時代に惹かれる」など、日本の歴史が大きく動いた時期には、とても興味深い出来事や、魅力的な人物が活躍しています。
ダイナミックなイベントが起きた時代以外にも、日本史には要所要所に見どころがあり、想像が膨らむストーリーが展開されています。日本史は1つの壮大な連続ドラマや長編マンガ、小説の感覚で学べる希少な教科でもあるのです。実際に小学生向けの歴史参考書ではマンガを多用していたり、全時代をマンガにしているシリーズなどもあります。「日本史をマンガだなんて思えない」という人は、1度そういったシリーズを読んでみることをおすすめします。
■ドラマの中で相関図として暗記する日本史
日本史を物語として学習していけば、人物と用語や対立関係、前後の流れも理解しやすく、ただ暗記するよりも「なぜそうなったか」という経緯について、明確な意味を持って納得することができます。改革や戦争はなぜ起きたのか、誰が中心となり、どの勢力と対立していたのか。史実を基にして家系図や年表を自作してみるのもおもしろいかもしれません。また、当時の文学作品に触れることで古文の勉強になったり、過去をテーマにした現代文学の理解も深まります。
マンガやゲームの長編作品で登場人物が多く出てくるものには、しばしば「人物相関図」といったものが付記されています。人と人との繋がりや関連がややこしかったり、どの派閥に属しているかがわかりにくくても、ハマったゲームやマンガであれば努力して理解しようとするはずです。おそらくそこに苦しさはなく、その世界に更に深く入っていける嬉しさの方が勝っているのではないでしょうか。
■授業を熱っぽく語る先生の気持ちとは
学校で歴史を担当している先生方は、おそらくほぼ全員が上記のような「歴史という長い物語に魅せられた」経験を持っています。授業中に、ある時代のエピソードや説明をしていて急にスイッチが入り、まるでタイムスリップしてその時代を見てきたかのようにリアルに、そして情熱的に語る先生と出会ったことはないでしょうか。
日本史を時代の流れ=ストーリーとして理解していくとき、それまで点々と存在していた出来事が、ある時点で急に線で繋がり、大きな激流へと姿を変える過程を体感できます。こういった現象をティッピングポイントと呼ぶことがありますが、日本史を学習するなかで、急に「そうか!そういうことか」と強く理解するティッピングポイントを迎えたとき、まるでその時代を見てきたかのように熱心に語る先生の気持ちがきっとわかるはずです。
■楽しめば自然に興味が増して詳しくなれる
ゲームやスポーツ、アニメや音楽など自分が興味のある分野なら、人は暗記することを労力とも思わず、むしろ自分の中に知識が積み上がっていく過程を楽しむことさえできてしまいます。好きなことを考えているときは自然と集中力も高まり、情景をリアルに繰り返し想像し、無意識に復習もできていたりします。
日本史をただの受験対策で暗記するべき科目とみるか、過去から現代の自分たちへと続く壮大な長編小説とみるかで、勉強や暗記に対する苦しさ、辛さが180度違ってくるのです。
いかがでしょうか。日本史を効率よく暗記する方法や対策自体は、他の教科と基本的には変わりません。しかし、教科自体を物語として楽しめるところが、歴史という科目が持つ大きなメリットでもあります。日本の成り立ちや時代ごとの特色にぜひ興味を持って、日本史をもっと面白がってみてください。知識が増えるほどに頭の中に言葉があふれて「もっと難しい問題を出してほしい。もっと答えさせてほしい!」という気持ちが生まれるかもしれませんよ。
執筆者:木村紫
貿易業務とライター業を兼務するシングルマザー。人より少し豊かな人生経験から、恋愛・健康・転職・ライフハックなど、様々なジャンルで執筆活動中。ダメな人への優しいまなざしに定評がある。
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