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英語が苦手な受験生に試してもらいたい勉強法

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英語を苦手とする受験生は、早急に対策を練りましょう。入試本番が近づいて、その他の教科の成績が順調に上がって「志望大学のランクをひとつ上げることができるかもしれない」と思っても、英語がネックになってそれを実現できなくなることがあります。

ほとんどの大学は、英語の成績を重視します。英語に多くの点数を配分しています。そして、難関大学や有名大学ほど、よりシビアに受験生の英語力をチェックします。

英語を苦手にする人でも、英語を得意科目にすることはできます。なぜなら、受験英語は入試科目だからです。入試は「解けるように」つくられています。必ず解ける以上、英語を苦手にしている人でも「やるべきことをやるだけ」で英語力を上げることができます。

まずは英語を好きになってみる

「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、これは、好きなことは自然に熱中できるので上達するスピードが速くなる、という意味です。受験科目の得意・苦手は、大抵は好き・嫌いに由来しています。
戦国武将に憧れた人は日本史が得意になりますし、整数の法則に美しさを感じた人は、数学で好成績を上げるようになります。勉強が苦にならないので、成績が上がるのは当然です。

英語を苦手にしている人は、英語が嫌いなのではないでしょうか。その状態では英語を勉強するほどストレスが溜まり、ますます英語が苦手になります。勉強の好みは変えることができます。まずは英語を好きになりましょう。

◇英語体験をしてみよう
日本では、いわゆる「本来の英語」といわゆる「受験英語」は、別のものになってしまいました。

本来の英語は、コミュニケーション手段です。単語が間違っていても、文法がでたらめでも、日本人が自分の気持ちを英語で話し、英語しか解さない人に理解してもらえたら、その日本人は本来の英語を身につけていることになります。

しかし、本来の英語を身につけていても、単語が間違っていて、文法がでたらめだと、受験英語では0点です。まったく評価されません。これでは受験英語を嫌いになる人が存在するのも無理からぬことです。

そこで、英語を苦手にしている人は、本来の英語と受験英語をドッキングさせてみましょう。そのためには、英語体験が必要です。

本当は、アメリカやイギリスやオーストラリアなど、英語が公用語になっている国に行き、生の英語に触れてほしいのですが、受験生にそのような余裕はないでしょう。ならば、自宅近くに住んでいる英語を母国語にする外国人(英語ネイティブ)と会話する機会をつくってみてください。最も簡単なのは、英会話教室の英語ネイティブと話すことです。

受験英語で英語ネイティブとコミュニケーションが取れたら、英語を学ぶ意義をリアルに理解できるはずです。そして、「もっと英語を勉強したら、もっと外国人と理解し合える」という実感が得られます。この体験を1回でもしておけば、英語を嫌う意識は薄れるでしょう。

英単語の暗記はこのように乗り越えよう

英語を嫌いになるきっかけのひとつに、英単語の暗記があります。勉強全体は好きなのに英語を嫌いになる人は、覚えなければ前に進めない英語学習にストレスを覚えます。数学や物理の問題は、理論で解くことができます。現国の問題も、解答の解説を知れば納得できます。
しかし、英語だけは、理屈が通じないように感じます。

例えばcoincidenceの意味を覚えていないと、次の英文の意味を把握することはできません。

It was a coincidence that the husband and wife were both twins.

twinsやhusbandやwifeは、そのまま日本語の会話のなかでも使われることがあるので「双子」「夫」「妻」とわかります。しかし、coincidenceという英語が、受験生の日常生活で使われることはないでしょう。

90%くらい理解できているのに、1個の単語の意味がわからないだけで、まったく意味が通じないのは理不尽です。英語を嫌いになる人は、「英単語を永遠に覚えていかなければならないのか」と想像して、ギブアップしてしまいます。では、英単語の暗記を、どのように乗り越えたらいいのでしょうか。

◇苦しんでいるのは自分だけではない、と知る。
英語を苦手にしている人は、英単語の暗記に苦しんでいるのは自分だけではない、と認識してください。英語で好成績をあげている友人がいたとしたら、その人も英単語の暗記に苦しんでいます。

英単語を記憶できない人は「こんなに時間を費やしているのに覚える先から忘れていく」と焦っています。なぜ焦るのでしょうか。それは、時間をかければ英単語を覚えられるはずだ、という先入観があるからです。

英単語と日本語の意味を30秒眺めただけで暗記できる人は、ごくわずかです。英語の成績がよい受験生は、「覚える先から忘れ、忘れた先から覚えていく」ことで、英単語を記憶に定着させています。

◇忘れるスピードより速く覚えていく
英単語は、忘れるスピードより速く覚えていきましょう。その方法を紹介します。

cで始まる難解英単語を5つ用意しました。

「camaraderie、友情」
「candid、素直な」
「capitalize、資本化する」
「cardboard、段ボール紙」
「coincidence、偶然」

これを5分かけて、覚えてください。覚え方は「声を出して読む」「ノートに書く」「じっとみつめる」など、なんでも構いません。ただ、5分間は守ってください。

次に、pで始まる難解英単語5つを、やはり5分間で覚えてください。

「pacifist、平和主義者」
「palatable、快い」
「paltry、つまらない」
「pamper、甘やかす」
「paramount、最高の」

そして次の日本語を、英単語に変換してみてください。以下の日本語は、cの単語の日本語の意味です。
「友情」
「素直な」
「資本化する」
「段ボール紙」
「偶然」

忘れてしまったものは気にしないでください。
その次に、以下の日本語も英単語に変換してみてください。以下の日本語は、pの単語の日本語の意味です。
「平和主義者」
「快い」
「つまらない」
「甘やかす」
「最高の」

ここまでで、10分かけて10個の難解英単語を覚えて何個忘れたがわかったはずです。例えば、忘れてしまった英単語が、次の4個だったとします。

「candid、素直な」
「capitalize、資本化する」
「pamper、甘やかす」
「paramount、最高の」

この4個の英単語を、4分かけて覚えてみてください。

この作業を繰り返すことが、「忘れるスピードより速く覚えていく」英単語記憶法です。
地道で愚直な方法ですが、英語力の基礎をつくるには効果があります。

英文法理解はこのように乗り越えよう

英単語は、中学の教科書で1,200語、高校の教科書で新たに1,800語出てきます。この計3,000語は「英単語の基礎の基礎」です。基礎の基礎とはいえ、英語が苦手な人がこの計3,000語を完璧に覚えると、英語の偏差値は急上昇するでしょう。しかし、急上昇し切ったところで、成長スピードはブレーキがかかります。

2つ目の壁が現れるからです。

「基礎の基礎の英単語」を覚えても越えられない壁とは、英文法の壁です。英文法については、「英文法は覚えなくてよい、英語も言語なのだから感覚で学習していこう。日本語の文法を覚えてから日本語を話す日本人はいない」と教える人と、「英文法の基礎ができていないから、長文読解ができない。だから英文法をしっかり会得しなさい」と教える人がいます。

英語が苦手な人は、前者の教え(「英文法は覚えなくてよい」)のほうを支持しがちです。しかし、英語が苦手な人こそ、後者の教え(「英文法をしっかり会得しなさい」)を守ってください。

英文法の基礎は以下のとおりです。
1)5文型
2)動詞(自動詞、他動詞、使役動詞など)
3)助動詞
4)時制(進行形、現在完了形、過去完了形、未来完了形)
5)時制の一致
6)分詞
7)受動態
8)形容詞と副詞
9)不定詞と動名詞
10)関係代名詞
11)仮定法
12)比較
13)前置詞

英語が苦手な人は、3日間、他の科目は一切手をつけず、上記の13項目を、英文法の参考書だけを使って勉強してみてください。

このときも英単語の暗記と同様に、忘れてしまったものは気にしないでください。あとから「そういえば『英文法3日間集中』のときにやったような気がする」と思うことができれば大丈夫です。

この英文法3日間集中を行うことで英文法の基礎の基礎ができます。英文法の基礎の基礎を会得するだけで、「単なる10個の英単語が並んだもの」が「意味を持つ文章」に見えてきます。

◇楽しめるはず
この域に達すれば、恐らく英語への苦手意識は消えているはずです。そして、英語の勉強が楽しくなっているかもしれません。

これまでは英字新聞を見ただけで「読めるわけがない」とあきらめていたと思います。しかし、「英単語の基礎の基礎」と「英文法の基礎の基礎」が身につけば、英単語の意味を調べて、英文を英文法で分解すれば読めるかもしれないと思えるようになります。

基礎の基礎を身につけただけでは、模試の点数を劇的に上げることは難しいでしょう。しかし、基礎の基礎が身につけば、「このまま進んでいけば、英語の偏差値を上げることができそうだ」という光が見えてきます。その気持ちで英語学習に取り組めば、英語の成績は、しばらくすると再び「グンッ」と上がるはずです。

【最難関】長文読解はこのように乗り越えよう

受験英語の最難関は、長文読解でしょう。難関大学の入試英語の長文読解は、英単語の基礎の基礎と、英文法の基礎の基礎だけでは太刀打ちできません。難解英単語と英文法の難解例外を覚えなければなりません。しかし、英語を苦手にしていた人であっても、地道な英語学習を積み重ねることで、この「長文読解の壁」を乗り越えることはできます。

◇なぜ多くの受験生は長文読解を苦手にするのか
長文読解を苦手としている受験生の多くが勘違いしていることを紹介します。英語の基礎ができている人が「自分には英語の力がないから長文読解ができないんだ」と考えることは間違っています。

英語の基礎ができていれば、どれだけ難解でどれだけ長い英文があっても、英単語を調べて文章を英文法で分解していけば、必ず意味は取れます。しかも、入試の英語で出題される長文は、受験生が意味を取り間違えないように、正しい英語で書かれた英文が使われています。

英語の長文読解を苦手としている人の多くは、その英文が日本語で書かれてあっても意味が取れないことがほとんどです。そのことを証明する実験を行ってみましょう。以下の日本語の文章を読んでみてください。これは日本人が、日本人向けに書いた文章です。

 

医師・看護師など主に医療従事者の人件費などに回る診療報酬本体と、薬の公定価格である薬価に大別され、全体の改定率はそれぞれの増減率に基づくしくみだ。

病院・診療所や調剤薬局が仕入れる薬の実勢価格は、公定価格を下回る場合が少なくない。改定のたびに薬価を実勢価格にさや寄せさせるのが通例になっている。これによって一定の財源を確保し、本体を引き上げる原資に充てるのが常態化している。

公費財源がかぎられるなかで、医師会などの求めに応じるための窮余の策だ。しかし本体引き上げありきでは医療サービスの効率性が二の次になるおそれがある。質と効率性の両面について一段の向上に資する改定にすべきだ。

 

(引用:社説「現役の負担を抑え患者本位の診療報酬に(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52082220S9A111C1SHF000/

この日本語の意味を正確に取れる受験生は多くないはずです。なぜなら、ほとんどの受験生は、「国の予算編成」についても「診療報酬改定」についても「医療財源問題」についても知らないからです。

難関大学の入試の英語では、この日本語と同等レベルの難しい内容の文章が、英文になって出てきます。英語の長文読解を苦手にしている人は、自分で翻訳した日本語を理解できないのです。

◇英語力は日本語力と一緒に上昇する「どちらも言語だから」
英語の長文読解を克服するには、現国の力を養う必要があります。日本語の難しい文章を、感覚的になんとなく読んでいては、現国の点数も、英語の点数も上がらないでしょう。

英語の長文を読解するとき、「これが主語で、これが目的語になっていて、この形容詞が形容している語句はこれで…」と分析するはずです。それと同じ分析を、日本語の難しい文章を読むときにも行ってください。英語の基礎が身についた人の英語力は、現国力と一緒に上昇します。

まとめ

英語を苦手にしていると、「受験山」の6合目ぐらいまでしか到達できないでしょう。それは、文部科学省も大学も高校も、受験生に英語を身につけさせようとしているからです。つまり「受験山」は、英語力がなければ登頂できないのです。

英語を苦手にしている人は、まずは英語を好きになりましょう。そして、とにかく1日も早く「基礎の基礎」をつくってしまってください。その作業はとても苦しいものですが、それを乗り越えると、急に楽になります。「英語の壁」は必ず越えることができる――そう信じて勉強に取り組んでみてください。


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